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管玉2024年01月01日 15:59

管玉/唐津市久里小学校出土/東京国立博物館

管玉(くだたま)は円筒形で管状で縦軸方向に貫通した孔がある玉である。

概要

貫通孔に紐をとおして装身具にする。長さ1cmから4cm、径2mmから8mmが多い。 穿孔は両端からが多いが、片側だけの場合もある。管玉だけを多数つなげ(連条)、または勾玉を1個ないし数個入れて、首飾り(頚飾)、腕輪、手玉などの装身具に用いる。弥生時代には専門の玉作工人がいた。管玉は縄文時代晩期から弥生時代前期に朝鮮半島から伝わった。 東北北部から北海道南部にかけての地域では、まず太形管玉を志向する段階があり、その後に細形管玉を志向する段階になったとされる。

来歴

中国では新石器時代から石製が骨角製の管玉が多い。日本では管骨を模したと見られる石製品が縄文時代に見られる。弥生時代は碧玉、鉄石英製で、長さ1~2cm、径0.3cm程度の小形が多い。古墳時代には全体的に大形化し、長さ3cm、径0.5~1cm程度が多い。北海道では縄文時代に土坑墓の副葬品として見つかる例が多い。菜畑遺跡では縄文系管玉と朝鮮半島産の管玉が共伴する。弥生時代には中国遼寧省系統の管玉を碧玉・鉄石英・水晶・滑石・ガラスなどの多様な素材で作る。古墳時代には碧玉・緑色凝灰岩製が多い。

製作工程

箕田拓郎(2015)は鳥取倉吉市の東前遺跡の分析で、管玉の製作工程を明らかにした。溝をつけて石を分割する方法を、施溝分割技法という。

  1. 荒削り段階では施溝分割と打撃を施す。
  2. 形割段階では施溝分割を繰り返して角柱状の素材を作る。
  3. 側面調整では押圧剥離により素材を調整する。
  4. 研磨段階では多角柱状にする。主として八角系の柱にする。
  5. 穿孔段階では石針を用いて孔をあける。孔部に回転痕があるものが残る。

素材

縄文時代に石製、鳥骨製のものがある。、古墳時代中期には滑石、凝灰岩が用いられた。後期は瑪瑙、水晶、ガラス玉を用いる。奈良時代は正倉院宝物に金銅、サンゴ、めのう製管玉がある。

出土例

  • 碧玉管玉 - 大和国奈良市富雄町丸山古墳出土品、古墳時代・4世紀、京都国立博物館
  • 管玉 - 常呂川河口遺跡、北海道北見市、縄文時代

参考文献

  1. 高橋健児(1911)『鏡と剣と玉』富山房
  2. 藤田富士夫(1922)『玉とヒスイ:環日本海の交流をめぐって』同朋舎出版
  3. 根岸洋(2021)「宇鉄遺跡出土の碧玉製管玉に関する基礎的研究」青森県立郷土館研究紀要
  4. 箕田拓郎(2015)「鳥取県倉吉市東前遺跡における管玉製作」

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