大垣市歴史民俗資料館 ― 2025年03月03日 00:31
大垣市歴史民俗資料館(おおがきしれきしみんぞくしりょうかん)は岐阜県大垣市にある歴史と民俗の資料館である。
概要
美濃国分寺跡の出土品や大垣地方の古墳の出土品、考古資料、大垣地方の民俗資料を展示する。1階は常設展示場、2階は特別企画の展示場となる。縄文時代の展示はなく、弥生時代、古墳時代と国分寺の出土品である。絵画土器が特に著名である。 絵画土器は東町田墳墓群から出土した弥生時代終末期の壺形土器で、器高24.8㎝、口径14.1㎝、胴部最大径24㎝である。方形周溝墓の周囲の溝から発見されたため葬送儀礼の用具と見られる。口のへりの内側で両手を挙げている人物は呪術師とみられる。切妻の高床建物2棟の左右にシカ2匹、それを狩る犬1匹と魔除けを意味する人面文様「癖邪視文」が描かれる。癖邪視文は東海地方、備讃地方などに集中する辟邪(魔除け)を表現した顔の装飾図文 (人面文)のみを簡略化した文様である。石案は凝灰岩質の軟かい石材を用いた、長径41.5cm、短径27cmの楕円形に近い隅丸長方形の石製品である。上面は平らで幅1.5?2.0cm、高さ1.5cmの低い縁が作られ、下面の四隅につけられた脚の一つは欠ける。両面とも敲打法によって整形され、縁の上面と脚は砥石で磨いている。古墳時代前期の石製摸造品の一種の「石(製)案」に似る。銅鐸は弥生時代の銅鐸で、岐阜県内出土の銅鐸では最も古い。 第2常設展示室は、明治の頃までこの地域で使われた農耕道具や生活道具などが展示される。
展示
- 美濃国分寺の復元立体模型
主な収蔵品
- 東町田遺跡から発掘された絵画土器
- 美濃国分寺の鬼瓦
- 美濃国分寺の軒瓦
- 石棺
- 石臼
- 石案
- 遊塚古墳出土品
- パレススタイル壺
- 銅鐸 十六遺跡(大垣市)から出土
- 遊塚古墳出土品
- 土製露盤伏鉢
指定
- 2015年7月22日 大垣市指定有形文化財(美術工芸品) 絵画土器
- 2014年2月21日 遊塚古墳出土品、古墳時代中期、大垣市指定有形文化財(美術工芸品)
- 昭和33年12月14日 石案、大垣城天守閣の盛土下底部付近から出土、岐阜県重要文化財
アクセス等
- 正式名称: 大垣市歴史民俗資料館
- 開館時間 :
- 入館料 : 100円
- 休館日 :火曜日(その日が祝日にあたるときは、その翌日)
- 所在地 :〒503-2227 岐阜県大垣市青野町1180-1
- 交通 :JR大垣駅南口1番乗り場から名阪近鉄バス消防赤坂分署行き、終点「消防赤坂分署」で下車し、青墓地域コミュニティバスへ乗り換え、「青野町東」で下車し徒歩10分
- 特記事項:
牟田辺遺跡 ― 2025年03月03日 23:58
牟田辺遺跡(むたべいせき)は、佐賀県多久市南多久町にある弥生時代中期から古墳時代の複合遺跡である。
概要
佐賀県多久市の標高15nから60mの丘陵縁辺に位置する。 弥生時代には拠点集落として人々が生活を営んでいた場所で、1974年以後 7 回に渡り発掘調査が行われた。その間に細形銅剣などの副葬品や甕棺墓群、環濠などが発見された。第 7 次調査で、弥生時代中期の環濠集落や 5 世紀中頃につくられた前方後円墳と円墳、6 世紀ごろにつくられた円墳が発掘された。古墳群は14基が確認された。前方後円墳は見晴らしの良い丘の上にあり、王族の墓と考えられる。全長18メートルと前方後円墳としては小規模であるが豊富な副葬品が発見された。前方後円墳から出土した馬具の一種とみられている「三環鈴」や「鈴杏葉」は大変状態が良く、当時の音色を聴くことができり。さらに石室から見つかった装身具の「獅噛文帯金具」は出土例がほとんどなく、小さな古墳から発見されることも珍しい品であり。 多久は石器の材料になる安山岩の原産地で、2万年以前から人々が生活をしていたとされる。また安山岩が豊富なことから、独自の文化が育まれた特殊な地域だったことが伺える。
調査
昭和40年に通称「勘太郎丘」で地元の学生が土器出を発見したことにより、遺跡が知られた。1974年(昭和49年)から2018年まで7回の発掘調査が行われた、2017年からの次調査で、弥生時代の遺構や古墳3基を発見した。第4次調査により、「勘太郎丘」の末端部にあたる第1区西で甕棺墓60基が検出され、71号甕棺墓には細形銅剣、硬玉製勾玉、碧玉製管玉、48号には円環型銅釧、碧玉製管玉が副葬されていた。また馬具の「三環鈴」や「鈴杏葉」などが出土している。9号墳は墳丘に葺石を張る墳丘18.5mの前方後円墳である。横穴式石室がある。「獅噛文帯金具」は獣の顔をあらわす複数の小型の金具を帯に装着する。獅子のベルト一式が出土したのは、国内初である。獅噛文帯金具の全容が判明した。朝鮮半島と日本列島合わせて13例しか知られない希少品である。
遺構
- 円墳
- 前方後円墳
- 甕棺墓
- 柱穴
- ピット+土坑
遺物
- 細形銅剣
- 碧玉製管玉
- 円環型銅釧
- 三環鈴
- 鈴杏葉
- 獅噛文帯金具
- 石器
- 土器
- 青銅器鋳型
指定
- 平成15年3月10日 佐賀県重要文化財 牟田辺遺跡甕棺墓出土遺物
展示
- 多久市郷土資料館
時期
弥生時代中期から古墳時代
アクセス
- 名称:牟田辺遺跡
- 所在地:〒846-0024 佐賀県多久市南多久町大字下多久下多久牟田辺3851
- 交 通:東多久駅 から徒歩42分
参考文献
- 文化庁『発掘された日本列島 2021』共同通信社
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