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沖出古墳2026年05月25日 00:02

沖出古墳(おきでこふん)は、福岡県嘉麻市漆生の丘陵上に所在する古墳時代中期初頭の前方後円墳である。地元では「瓢箪塚」、「瓢塚」と呼ばれていた。

概要

全長約69.5m、後円部径42.4mを測る前方後円墳である。前方部は2段、後円部は3段で築成されている。墳丘全面に川原石による葺石が敷かれていた。墳頂には多数の円筒埴輪、朝顔形埴輪、壺形埴輪が垣根状に配置されていた。後円部中央や前方部先端には複数の家形埴輪が配置されていた。北側前方部には、船などの線刻画を施した埴輪が配置されていた。船の線刻画は他界観念を示すものと考えられている。「船」の絵が線刻された埴輪は九州では西都原古墳群 第170号墳と合わせて2例ある。 南側には北側に比べて大きめ埴輪を配列し、南側くびれ部の基壇上にも円筒埴輪と朝顔形埴輪を複数立て並べていた。 後円部には埋葬施設として竪穴式石室が1基築かれ、主体部には竪穴式石室内に割竹形石棺が据えられていた。埋葬施設は、何度も盗掘を受けており、副葬品の大半は残っていなかった。犬木努は壺形埴輪の配置の「在地的」要素と、定型的な円筒埴輪の樹立という「畿内的」要素が混在する様相を指摘している(嘉麻市教育委員会(2020))。

発掘調査

発掘調査では、鉄刀1本が石棺外から出土した。石室内に流れ込んだ土砂の中から、玉、腕輪形石製品、鉄器の破片が出土しており、副葬品の一部とみられる。 出土品の石製腕飾類は、出土した石製腕飾(古墳時代前期の古墳に副葬された、碧玉や滑石で作られた腕輪形の祭祀具・装身具)類は、鍬形石・車輪石・石釧の3種が揃う点で注目されており、九州地方では唯一の例とされる。農工具形鉄器として刀子1点、鉄斧1点、鉇1点が確認されている。管玉は6点出土しており、そのうち5点は大型品である。石材には北陸産の緑色凝灰岩が用いられている。

墳丘上からは、小型丸底土器・二重口縁壺・高杯など、葬送儀礼に用いられたと考えられる土器が出土している。これらの土器や埴輪の特徴から、古墳は古墳時代中期初頭から前葉頃の築造と考えられている。管玉や腕輪形石製品、副葬された二重口縁壺などには古い要素も認められる。管玉・腕輪形石製品の副葬や二重口縁壺の供献など古い要素もあるが、全体としては古墳時代中期初頭から前葉にかけて造られた古墳と評価できる。 沖出古墳の後円部の竪穴式石室に納められた割竹形石棺から、九州では珍しい3種(鍬形石・車輪石・石釧)のセットとなる腕輪形石製品が出土している。3セツト揃う遺跡は沖出古墳と沖ノ島のみとされている(嘉麻市教育委員会(2020))。

沖出古墳の位置付け

3種の腕輪形石製はこれは畿内のヤマト政権の有力者しか身につけられない権力の象徴であり、被葬者が王権と極めて親密な同盟関係にあったことを示している。

沖出古墳が遠賀川の上流域である嘉穂盆地(嘉麻市)の最奥部であり、沖積平野を見下ろす丘陵先端に築かれていることは遠賀川を通じた物流・水上交通の管理・統制を行うための立地であることを強く示唆する。遠賀川流域には、弥生時代の「立岩遺跡(飯塚市)」など、大陸やヤマト王権との交易を背景とした強大な勢力が古くから存在していた。沖出古墳は、そうした古墳時代の地域首長(豪族)はヤマト王権の権威(前方後円墳の形式や副葬品)を取り入れることにより、自らの支配の正当性を示した。さらに「船」の絵が線刻された埴輪(船形線刻埴輪)が出土していることは、遠賀川流域の勢力が海や川の航行、すなわち海上・河川交易(水運)を重要な基盤としていたことを物語る。

遺物

  • 鉄刀
  • 管玉
  • 腕輪形石製品
  • 二重口縁壺
  • 腕輪形石製品

指定

  • 平成9年7月25日 福岡県指定史跡

展示

  • 碓井郷土館(嘉麻市)

アクセス等

  • 名称  :沖出古墳
  • 所在地 :福岡県嘉麻市漆生78番地1
  • 交 通 :JR福北ゆたか線「新飯塚駅」周辺(菰田駅通りバス停など)から、西鉄バス12番系統(西鉄大隈ゆき)に乗車、西鉄バス「沖出」バス停から徒歩約5分(約430m)

参考文献

  1. 嘉麻市教育委員会(2020)『徹底解剖 沖出古墳とその被葬者像』シンポジウム資料
  2. 嘉麻市教育委員会(2015)『沖出古墳のひみつ』嘉麻の遺跡ブックレットVol.1

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