杵ガ森古墳 ― 2024年07月13日 00:13
杵ガ森古墳(きねがもりこふん)は福島県河沼郡会津坂下町にある前方後円墳である。
概要
標高約178mの河岸段丘上に立地する東北地方最古級の前方後円墳である。 発掘調査以前は円墳と思われていた。区画整理事業に伴って平成2年から記録保存のための発掘調査により、前方後円墳と判明した。出土した土師器から、築造は古墳時代前期前半(4世紀)と考えられている。古墳の周辺に10基の周溝墓と13軒の竪穴住居跡等を発見(稲荷塚遺跡)したことなどから、遺跡の重要性が注目された。計画道路の一部を変更し遺跡の中心部分を公園「稲荷塚遺跡」として整備、保存することとなった。かつて後円部上には稲荷神社が置かれていたことから、杵ガ森古墳を含めて「稲荷塚遺跡」と称される。
発掘調査
杵ガ森古墳は、墳丘の長さ45.6メートルの二段築成で下段は地山を削りだした面が後円部を一周する。稲荷神社の造営時に盛土したため変形しており、当初の状況は不明である。墳丘の高さは2メートル前後と推定されている。前方部がバチ型になる墳形は、日本最古の前方後円墳である箸墓古墳(奈良県桜井市)と類似している。
規模
- 形状 前方後円墳
- 築成 後円部:2段
- 墳長 45.6m
- 後円部 径径25m 高2m
- 前方部 幅推定18m 長21m
遺物
- 周濠内から土師器。
築造時期
- 3世紀末~4世紀初頭
被葬者
展示
指定
- 平成8年3月22日 福島県指定史跡
アクセス等
- 名称 :杵ガ森古墳
- 所在地 :福島県河沼郡会津坂下町稲荷塚
- 交 通 :会津坂下駅から徒歩25分、1.8km。
参考文献
- 大塚初重(1982)『古墳辞典』東京堂
- 福島県教育委員会(1989)「福島県の文化財-国指定文化財要録-」
- 会津坂下町教育委員会(1995)「会津坂下町杵ガ森古墳・稲荷塚遺跡発掘調査報告書」会津坂下町文化財調査報告書 ; 第33集
- 福島県河沼郡会津坂下町教育委員会(1991)「杵ガ森古墳・稲荷塚遺跡 : 坂下西第一地区発掘調査概報」会津坂下町文化財調査報告書 ; 第22集
- 会津坂下町教育委員会(2023)「講演会『北越からみた弥生時代後期 : 終末期の会津 : 史跡古津八幡山遺跡の調査成果から』報告書 : 令和4年度埋蔵文化財センター企画展「杵ガ森古墳と稲荷塚遺跡」」
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