野尻湖立ヶ鼻遺跡 ― 2025年02月22日 00:30
野尻湖立ヶ鼻遺跡(のじりこたてがはないせき)は長野県上水内郡信濃町にある旧石器時代の遺跡である。 「立が鼻遺跡」、「立ヶ鼻遺跡」、「野尻湖底遺跡」ともいう。「信州の史跡百選」に選定されている。
概要
長野県北部の野尻湖一帯は、旧石器時代からの遺跡が40箇所ある、野尻湖立ヶ鼻遺跡は日本の旧石器時代として骨器が多く産出する遺跡である。野尻湖西岸の湖底に張り出す舌状台地の斜面上標高約650mに立地する。湖底調査は水位が下がる春季に行なわれ、「野尻湖発掘調査団」という全国的に組織されたボランティア団体による発掘(大衆発掘という)が行われ、2016年までに21次の調査が行われた。湖底調査は水位が下がる春季に行なわれる。時期は後期旧石器時代初頭と見られる。
調査
干上がった野尻湖底にナウマンゾウの臼歯が露出していたのを近くの旅館の主人が発見したことから、発端野尻湖遺跡調査団が1962年から発掘調査を実施し、多量の動物遺体を発見した。本遺跡を動物解体の場所と推定した。ナウマン象の骨製クリーパー、骨製槍、スパイラル剥片、ナイフ状石器、スクレーパー、スパイラル剥片、骨製剥片などが出土した。3万年から5万年前のナウマン象、オオツノ鹿、ヒグマの骨が出土した。大型動物を集団で捕獲していた可能性が高い。当時の野尻湖は寒冷な気候であったため野尻湖に住んでいたのは寒さに適応したナウマンゾウと想定されている。野尻湖で見つかるゾウの骨は多くの場合砕けた骨片である。
遺構
- ナウマンゾウの肋骨群と骨器・骨資料の集中分布地点
- 巨礫と骨資料の集中分布地点(キルサイトの状況証拠として、遺構に準ずる)
遺物
- スパイラル剥片 骨資料
- 骨製剥片
- 骨製クリーヴァー(クリーパー)
- スパイラル剥片
- 線条痕のある骨片
- 楔形石器
- 石刃
- 石核
- 剥片
- 交互剥離のある石片
指定
展示
- 野尻湖ナウマンゾウ博物館
アクセス
- 名称:野尻湖立ヶ鼻遺跡
- 所在地:〒389-1303 長野県上水内郡信濃町野尻 海端
- 交 通:北しなの線 黒姫駅から徒歩48分 3.5km
参考文献
- 旧石器文化談話会(2007)『旧石器考古学辞典三訂版』学生社
- 日本旧石器学会(2010)『日本列島の旧石器時代遺跡』
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