荒屋遺跡(新潟) ― 2025年03月05日 00:50
荒屋遺跡(新潟)(あらやいせき)は新潟県長岡市(旧・北魚沼郡川口町)にある旧石器時代の遺跡である。
概要
信濃川と魚野川が合流する河岸段丘上にある。石器が出土した地点の標高は約86.5mである。1957年秋、長岡市在住の郷土史家の星野芳郎と井口通泰は1958年10月2日に採集遺物の石器を持参して、明治大学考古学研究室の芹沢長介に意見を求めた。芹沢は明らかに細石刃文化であると判断した。特徴のある細石器であり、細石刃を伴って出土する彫刻刀は芹沢長介氏が「荒屋型彫刻刀」と名付けた。荒屋型彫刻刀形石器の標識遺跡である。日本列島の旧石器時代遺跡では特異な遺跡とされる。
調査
1958年4月29日から5月5日に発掘調査を実施した(第1次発掘調査;写真2)。その結果、2千点以上の石器が出土し、貯蔵穴様の土坑が検出された。 1988年に第2次発掘調査、1999年に第3次発掘調査を行い、9万点を超える石器が出土し、多数の遺構を確認した。多数の石器が出土し、総数は10万点以上と推定されている。使用痕分析の結果、荒屋遺跡からの出土石器の中で最も主体となる加工具は彫刻刀である。
年代
荒屋遺跡で得られた炭素14年代は約14100years BPであるとされる。実年代スケール(暦 年代スケール)では、現在から16000年から17000年前(Kitagawa and van der Plicht,in press)のものとされる。
遺構
- 竪穴建物
- 土坑
- ピット
遺物
- 荒屋型彫器
- 細石刃
- 剥片 419
- 細石刃71
- 細石核1
- 細石核ブランク3
- 細石核削片6
- 彫器44
- 彫器母型1
- 彫器削片75
- 掻器2
- 彫掻器1
- スクレイパー1
- 礫器1
- 有茎尖頭器1
- 尖頭器 10
- 被二次加工剥片8
- パステル形石器1
- 打製石斧1
- 細石刃核 2
- 細石刃核母型 3
- ファーストスポール
- スキー状スポール4
- 彫刻刀 6
- エンド・スクレイパー 7
- サイド・スクレイパー8
- ドリル 9
- 彫刻刀スポール H.礫器 12
- 砕片13
- 接合資料
指定
- 昭和51年11月19日 旧川口町の指定文化財
展示
- 長岡市川口歴史民俗資料館
- 明治大学博物館(第1次調査)、
- 東北大学(第2・3次調査)、
- 長岡市教育委員会(第4次調査)、
- 東京国立博物館(星野芳郎コレクション)
考察
アクセス
- 名称:荒屋遺跡
- 所在地:新潟県長岡市西川口1543他
- 交 通:上越線・越後川口駅から南へ約1キロ
参考文献
- 東北大学大学院文学研究科考古学研究室(2003)「荒屋遺跡 第2・3次発掘調査報告書」
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