箱式石棺 ― 2025年06月03日 18:49
箱式石棺(はこしきせっかん)は板状の石で周囲を囲んで箱形の空間を作り、その上方を同様の石で覆い、遺体を納める埋葬施設としたものである。「箱形石棺」ともいう。
概要
板石を組み合わせて箱を作り、その中に遺体を納める埋葬施設である。石造りの缶としては最も簡単な構造である。日本の古墳時代では全期間を通じて使用された。
石棺の形式
高橋健自(1915)によれば、石棺は刳抜式と組合式に大別される。刳抜式は大きな石をくりぬいて身と蓋を作る。割竹型、舟形、家型の3種類がある。組合式は複数の石を組み合わせて石棺を作るものである。組合式には箱形、家形、長持形の3種類がある。 箱形石棺は阿波の法隆寺と言われる丈六寺(徳島県徳島市)の例(文領古墳出土石棺)がある。
分布領域
弥生時代には九州から瀬戸内西辺にかけて西日本で分布し,古墳時代には九州から東北地方にまで分布した。
出土
- 箱式石棺 - 横地山古墳、愛媛県四国中央市、弥生時代後期
- 乙川北遺跡 - 広島県世羅郡世羅町大字小世良、
- 大原箱式石棺群 - 岡山県玉名市岱明町、弥生時代終末期から古墳時代初
参考文献
- 高橋健自(1915)「石棺の研究」人類學雜誌 30 (6), pp.203-205
- 端野晋平(2021)「初期箱式石棺の二型式」【岩永省三先生退職記念論文集】上, pp.79-102
- 島津屋寛(2009)「熊本県下の古墳時代箱式石棺」
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