藤氏家伝 ― 2025年07月01日 23:41
藤氏家伝(とうしかでん)は奈良時代後半に成立した藤原氏の家史である。
概要
藤氏家伝は上巻と下巻からなる。藤原鎌足伝は「大織冠伝」とも言われる。藤原不比等伝は失われている。上巻は「大師」すなわち太政大臣である藤原仲麻呂が編纂を主導したとみられる。下巻は華厳宗の学僧である延慶の執筆編集とみられている。延慶は藤原仲麻呂の家僧と推測されている。藤原仲麻呂が先祖の藤原鎌足等の顕彰を目的として編纂したとみられる。貞慧は飛鳥時代の学僧で、藤原鎌足の長子である。
構成
藤氏家伝の構成は以下の通りである。
- 上巻
- 藤原鎌足伝
- 貞慧伝
- 下巻
- 武智麻呂伝
成立
天平宝字四年(760年)から天平宝字六年(762年)頃に成立した藤原氏の家史である。
『日本書紀』との関係
鎌足伝と『日本書紀』との関係は横田健一氏の見解がほぼ通説となっている。
考察
藤原不比等伝がないのは残念であるが、藤原氏にとって都合の悪いことが書かれていたのであろうか。全体としては藤原氏に都合良くかかれており、記述のすべてを文字通りに受け止めるべきではないであろう。藤原仲麻呂は藤原鎌足とは約100年の時代差があるので(藤原鎌足→藤原不比等→藤原武智麻呂→藤原仲麻呂)、直接の面識があったわけではない。藤原仲麻呂からみれば藤原鎌足は曾祖父である。藤原仲麻呂が藤氏家伝の編纂を主導したといっても、仲麻呂に記憶があった訳ではないので、それまでの伝承や古記録(あったとすれば)に、独自の誇張を加えても不思議ではなかろう。成立が760年頃なら藤原鎌足の死後100年である。
参考文献
- 沖森卓也, 佐藤信, 矢嶋泉 (翻訳)『現代語訳 藤氏家伝』筑摩書房
- 横田健一(1973)『白鳳天平の世界』創元社
- 横田健一(1973)「大化の改新と藤原鎌足」史林42 (3),pp.82-411
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