マロ塚古墳 ― 2026年04月15日 00:04
第1版 2026/4/14
マロ塚古墳(まろづかこふん)は、熊本県に所在したと推定される古墳時代の古墳である。ただし、現在は墳丘および正確な所在地が確認されておらず、出土品の伝来記録に基づいて想定される未確認古墳である。
概要
旧地名では熊本県鹿本郡植木町付近に所在したと伝えられるが、現時点では遺構の特定には至っていない。このため、本古墳の位置や墳形・規模については確定的ではなく、径約15メートル前後の円墳であったとする見解があるものの、いずれも推定の域を出ない。
マロ塚古墳は、保存状態の良好な武器・武具類を中心とする一括出土資料で知られる。ただし、これらの遺物は「マロ塚古墳出土」と伝えられているものの、厳密な出土地点や発掘経緯は明確ではなく、同一遺跡に帰属するかについては慎重な検討が必要とされる。
伝えられる出土品には、小札鋲留眉庇付冑2点、小札鋲留衝角付冑1点、頸甲3点、横矧板鋲留短甲1点といった甲冑類のほか、鉄鏃25点、直刀5点、矛1点などの武器類、さらに鞍金具などの馬具類、耳環やガラス小玉といった装身具、須恵器・土師器などの土器が含まれる。これらの遺物は一括して国の重要文化財に指定されている。
熊本県内では、古墳時代に属する甲冑出土古墳が約23基確認されており、そのうち11基が鋲留式甲冑を伴うとされる。これらは九州における武装首長層の存在を示す資料群として重要視されており、マロ塚古墳もその一群に位置づけられる可能性がある。
所在地の比定については、杉井健(2012)により、菊池川水系支流である合志川中流域西半部左岸が有力視されている。この地域には、慈恩寺経塚古墳、上生上ノ原4号墳など、帯金式甲冑を出土した古墳が分布しており、同種遺物の地域的集中という観点から、マロ塚古墳出土とされる資料との関連が指摘されている。すなわち、出土遺物の様式的共通性と分布状況に基づく地域比定である。
以上のように、マロ塚古墳は墳丘の実態が不明な未確認古墳でありながら、伝来する一括遺物の内容から、古墳時代における九州中部の武装首長層や甲冑生産・流通の実態を考えるうえで重要な資料的位置を占めている。
遺物
- 小札鋲留眉庇付冑
- 小札鋲留衝角付冑
- 頸甲
- 横矧板鋲留短甲
指定
展示
- 国立歴史民俗博物館
アクセス等
- 名称 :マロ塚古墳
- 所在地 :所在地不明
- 交 通 :
参考文献
- 杉井健(2012)「マロ塚古墳出現の背景」国立歴史民俗博物館研究報告 第173 集
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