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大津保畑遺跡2025年04月18日 00:05

大津保畑遺跡(おおつぼばたいせき)は鹿児島県中種子町にある旧石器時代の遺跡である。

概要

大津保畑遺跡は種子島の中央、田島台地の南端に位置する。 谷の西側で後期旧石器時代の土坑(落し穴)が約30,000年前の堆積物である種Ⅳ火山灰層の下で12基検出された。現時点で日本最古の落し穴である。落し穴は墓や貯蔵穴との区別が問題となるが、消去法で落し穴と判断された。 落し穴は谷頭付近に集中しており、鹿や猪が通る「けもの道」に意図的に配置されていた可能性がある。土坑は自然に埋まっていたため、墓ではないことが明らかになった。土坑の周囲では石器等の出土がなく、土坑埋土の科学分析でも貯蔵穴を裏付けるものはなかった。消去法で「落し穴」と判断される。静岡県初音が原遺跡の27000年前の落とし穴に形態が近いことが分かり、「落し穴」を裏付けられた。 「落し穴」周辺の科学分析では、周囲は当時、照葉樹林と判明した。周囲の遺跡から敲石、 台石などが出土しているため、木の実をすり潰して食べていたと推測される。少し離れた地点(立切地区)で、生活の痕跡を示す礫群(=調理施設)や焼土跡(=炉跡)が発見されている。 落とし穴で狩りをしたことは、定住した狩猟生活や、追い込み猟をを示す可能性があり、日本列島初期の旧石器時代社会を考える上で重要な資料となる。

調査

平成18年~19年度の国道58号線改築工事に伴う発掘調査で発見された。発掘では東京大学佐藤宏之准教授の現地指導を受け、さらに同大学今村啓爾教授等の助言を受けた。第1号土坑は平面は円形で、規模は開口部が2m×1.85m、底面は0.67m、深さ1.68mである。土坑の底面はやや丸みをもち、断面は底面からほぼ垂直に立ち上がる6号土坑は開口部及び底面の平面形は楕円形で、土坑の規模は,開口部が1.37m ×1.63m,底面は0.95m×0.9m , 深さ1.15mである。土坑の底面は平坦で断面形は箱形である。遺物は礫器、石核、敲石、石皿、砥石、破砕礫等が出土した。炭化物は,顕著な集中区を形成せず,散在した状態で散らばっている。炭化物の大きさは5mm~1cm大で、周辺はシミ状に黒くくすんでいた。炭化物の放射性炭素年代測定を行い、測定値は炭化物集中区2が29310±170yrBP、炭化物集中区3が30320±170yrBPで,焼土跡2とほぼ同じであった。

遺構

  • 土坑(落し穴12基)
  • 焼土跡 7基

遺物

  • 敲石
  • 台石
  • 磨石
  • 細石核
  • 細石刃
  • 縄文早期土器
  • 市来式土器
  • 縄文早期土器
  • 石斧

考察

展示

  • 中種子町歴史民俗資料館

指定

  • 平成27年 県史跡

所在地等

  • 名称: 大津保畑遺跡
  • 所在地:鹿児島県熊毛郡中種子町坂井
  • 交通: 種子島空港より車で約35分

参考文献

  1. 鹿児島県立埋蔵文化財センター(2009) 『鹿児島県立埋蔵文化財センター発掘調査報告書135:大津保畑遺跡・小園遺跡』鹿児島県立埋蔵文化財センター