丸木舟 ― 2024年10月28日 00:31

丸木舟(まるきぶね)は、旧石器時代、縄文時代に一木で中をくり抜いて製作した木造船である。
概要
縄文時代に石器の原産地に行くために舟が必要であった。木を縦に半分に裁断し中をくり抜いた丸木舟が使われた。舟に帆はないので、櫂の力だけで航行するとみられる。 一本の木を刳り抜いた舟を造船史では単材刳船という。島根県沖の隠岐島や伊豆諸島の神津島で産出される黒曜石は、中国地方や南関東・東海地方の縄文時代の遺跡から出土しているので、縄文人が海を渡ったことは証明できる。 作り方は、焼いた石を木に置いて焦がして削るという根気のいる作業と考えられている。 鳥取県内での丸木舟の出土例は5例が知られている。 縄文時代の丸木舟は全国で約160艘が発見されている。千葉県では全国最多の60艘が出土している。
最古の丸木舟
約5500年前(旧石器時代)のものとみられる福井県の鳥浜遺跡の丸木舟が発見されている。 鳥取市桂見遺跡出土の丸木舟は材質はスギで、内側に焼いた跡がある。 千葉県の「雷下遺跡」からは、国内最古とみられる約7500年前の丸木舟が出土している。米国で放射性炭素年代測定により年代が判明した。長さ7.2m、幅0.5m。その他、船首部分と推測される長さ0.4mの部材あり。
出土例
- 丸木舟 雷下遺跡、千葉県、約7500年前
- 丸木舟 市川橋遺跡、宮城県多賀城市、古墳時代後期
- 丸木舟 加茂遺跡、縄文時代中期初頭、ムクノキ
- 丸木舟 桂見遺跡、鳥取市、約5500年前
考察
参考文献
- 工藤慎一郎(2014)「雷下遺跡から出土した丸木舟と木胎漆器のC14年代測定」研究連絡誌 75 pp.13-16
- 李相均(2014)「韓国飛鳳里貝塚で出土した丸木舟の様相」東京大学考古学研究室研究紀要」28 pp.159-186
- 沖松 信隆(2023)「千葉県における縄文時代丸木舟の出土例について」研究連絡誌 (88),pp.2714-2723
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://ancient-history.asablo.jp/blog/2024/10/28/9727168/tb
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。