大日山35号墳 ― 2025年04月27日 00:36
大日山35号墳(だいにちやまさんじゅうごごうふん)は和歌山県和歌山市岩橋・井辺にある和歌山県で最大級の前方後円墳である。岩橋千塚古墳群のひとつである。
概要
和歌山県東部の標高141mの大日山山頂に立地する。墳丘主軸を南北方向として前方部を南、後方部を北に向ける。6世紀前半の当時この地域を支配していた古代豪族の紀氏を中心とする勢力による築造と想定されている。 基壇や墳丘の各段の平坦面は円筒埴輪列で囲まれる。和歌山県内最大級の墳丘規模で、立地と墳丘規模から当該期の首長墳と評価されている。当該期の大王墓に比定されている今城塚古墳との共通性から畿内政権中枢との関係が推定されている。墳丘の長さは約86mであり、約105mの盾型基壇の上に作られる。両面人物埴輪や翼を広げた鳥形埴輪などの独自の地域色が表れる器種がある。
調査
2003年度から2005年度にかけて和歌山市教育委員会が3年間の発掘調査を行った。墳丘は三段構成である。最下段は全長約105mの盾形の基壇で、その上に二段構成で墳長約86mの前方後円形の墳丘がある。玄室は長さ4.3m、高さ2.8mで、2枚の板石を水平に懸架する石棚と水平の石梁がある。石室から装身具、武器、武具、馬具、農工具などの副葬品が出土した。東西に造り出しがあり、飲食物供献用の須恵器とともに形象埴輪群がコンテナ300箱分が出土した。円筒埴輪列は墳丘を三重に巡る。円筒埴輪列は朝顔形埴輪や蓋形埴輪が組み合わされる。東の造り出しからは形象埴輪群の中心に家型埴輪があり、その周囲に翼を広げた鳥、水鳥、猪、犬、牛、馬などの動物の埴輪、貴人、力士、太刀などの埴輪が出土した。西の造り出しからは武人、巫女、両面人物、盛装男子、冠帽人物、飾り馬、胡簶(ころく)、靫(ゆぎ)、家型埴輪、蓋などが出土した。翼を広げた鳥、胡簶、両面人物の埴輪は珍しい。
規模
- 形状 前方後円墳
- 墳長 86m
- 後円部径 径37~39m 高6~6.5m
- 前方部 幅49~50m 長23~24m 高7.5m
遺構
- 円筒埴輪 円筒埴輪
- 葺石 なし
- 主体部 横穴式石室
遺物
- 埴輪小片出土
- 変形獣文鏡
- 鉄刀残欠
- 馬具残欠
- 高杯
- 杯1
- 坩1
- 長頸壺2
指定
- 2016年8月17日 重要文化財指定 「和歌山県大日山35号墳出土品」
被葬者
- 古代豪族紀氏による築造と考えられている。
築造時期
- 6世紀前半
展示
- 和歌山県立紀伊風土記の丘
アクセス等
- 名称:大日山35号墳
- 所在地:和歌山県和歌山市井辺
- 交通:
参考文献
- 和歌山県教育委員会(2025)「岩橋千塚古墳群総括報告書Ⅰ」
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