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車輪石2024年11月03日 23:59

車輪石/乳岡古墳/堺市博物館

車輪石(しゃりんせき)は石で貝の形状を模造した車輪に似た形状の腕輪形の石製品である。

概要

楕円形の形状で放射状の帯が付けられる。古墳の副葬品として収められる。 放射状の帯を配しているところから名付けられた。 カサガイやオオツタノハなどの笠形をした貝の頂部に孔をあけてつくられた腕輪を石材で模したものである。表面にある放射状の文様は、貝の表面の放射肋とよばれる筋を模倣したものである。実用的なものではなく、非実用品であった可能性が高い。 緑色凝灰岩で作られる場合が多い。 古墳時代には、特別な貝輪は緑色凝灰岩や碧玉とよばれる緑色をした石材でつくられた。

材質・形状

当初はカサガイ等の南海産二枚貝製貝輪が有力視されていた(高橋(1913))。三木・小林(1959)は平面卵形のものから順次円形に変化していくという説を唱た。その後、オオツタノハが祖形と指摘された(三島・橋口(1977))。河村(1989)は卵形と、銅釧を祖形とする円形は当初から併存していたと指摘した。

出土例

  • 車輪石 - 島の山古墳出土、奈良県磯城郡川西町、古墳時代前期
  • 車輪石 - 東之宮古墳、愛知県犬山市、古墳時代、京都国立博物館
  • 車輪石 - 17号遺跡出土、沖ノ島、福岡県宗像市、4~5世紀、国宝

考察

腕にはめる部分は平面になっているが、これを腕に装着すると日常動作に支障を来すのではないかと思われる。その意味では使用されたとしても、儀式の場などで、権威を示す必要のあるときに使用されたと思われる。円形のものもあるが楕円形も多い。楕円形にする意味は何であろうか。

参考文献

  1. 高橋健自(1913)「釧の研究」『考古学雑誌』3-7
  2. 河村好光(1989)「碧玉製腕飾類の成立」『北陸の考古学』Ⅱ 石川県考古学研究会会誌32
  3. 三島格・橋口達也(1977)「南海産貝輪に関する考古学的考察と出土地名表」『立岩遺蹟』河出書房新