鳥浜貝塚 ― 2024年11月29日 00:12
鳥浜貝塚(とりはまかいづか)は福井県にある縄文時代の遺跡である。
概要
昭和37年以来4半世紀におよぶ発掘調査が実施され、これまでの縄文人に対するイメージが完全に覆された遺跡である。福井県三方上中郡若狭町鳥浜にある縄文時代前期から草創期にかけての貝層を伴う低湿地遺跡である。鰣川と高瀬川が合流する地域の地下深くで発見された。遺物包含層は現在の地層から3mから7m下(海抜-1mから-3m)まで貝層を伴いつつ数十層に亘り堆積していた。鳥浜貝塚では、通常腐敗して残存することのないはずの草木類・種子類などの植物性遺物などの有機性遺物が25万点以上の膨大な量で出土した。 縄文時代草創期から前期の低湿地であり、有機質遺物の保存状態が極めて良い。前期には貝塚が形成され、当時の汀線付近からは杭群を検出した。縄文土器には、赤・黒の漆で幾何学文様を描いた彩漆土器や赤彩が施されている浅鉢形土器などが出土した。骨角牙貝製品には、漁具や鹿骨製斧、また髪飾りや垂飾りなどの装身具も出土した。木製品は刻歯式の櫛や石斧・弓・丸木舟・櫂などが出土した。 縄文人の多彩な生業を把握できた。遺跡のあった場所は岬の先端である。 遺跡のあった場所は岬の先端で、当時の人々は湖岸から海中に食べかすや土器を捨てていたが、水中で保存されたため、数千年後でも維持されてきた。 遺跡は調査後に水中に戻したため見学はできない。
丸木舟
鳥浜貝塚から1981年7月と1982年に丸木船が1隻ずつ出土した。前者は縄文時代前期のものであった。丸木舟としては当時は日本最古であった。
遺構
- 竪穴建物3
- 炉
- 焼土1
- 貯蔵穴5
- 貝層
- 杭群
- 貝層
- ピット
- 杭
- 礫床土坑
遺物
- 丸木舟
- 編物
- 木製品
- 植物遺存体
- 縄文土器
- 石器
- 骨角器
- 木製品
- 動物遺存体
- 貝製品
- 漆製品
- 繊維製品
展示施設
- 若狭三方縄文博物館
- 福井県立若狭歴史民俗資料館
指定
- 平成14.6.26 有形文化財 考古資料 福井県鳥浜貝塚出土品
考察
アクセス等
- 名称: 鳥浜貝塚
- 所在地: 福井県三方上中郡若狭町鳥浜
- 交通:JR小浜線三方駅から徒歩20分。
参考文献
- 鳥浜貝塚研究グループ(1987)『鳥浜貝塚』福井県教育委員会
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