南摺ヶ浜遺跡 ― 2025年04月24日 00:40
南摺ヶ浜遺跡(みなみすりがはまいせき)は鹿児島県指宿市にある縄文時代晩期から古墳時代にかけての複合遺跡である。
概要
層位は17層まである。9層a、9層bが、古墳時代の文化層である。 縄文時代晩期では上加世田式土器・入佐式土器などの土器、打製石鏃、打製石斧などの石器が出土している。弥生時代後期から古墳時代にかけて、壺棺墓16基,甕棺墓1基,円形周溝墓12基,土坑墓72基,立石(板石)25基が検出された、弥生時代の後半から古墳時代にかけての大規模な墓地である。甕棺は一般の土器より丁寧な作りであることから、葬送用に特別に作られたものと見られる。死者への意識がみえる。宇宿上層式土器と呼ばれる土器片が出土する。奄美大島の宇宿貝塚で初めて見つかった土器である。縄文時代の後期の土器である。北はトカラ列島の中之島付近、南は沖縄本島まで分布する南方系土器である。指宿と南西諸島とのつながりを証明する。
人骨
2007年度の発掘調査で南摺ヶ浜遺跡の壺棺墓から3体、円形周溝墓から1体、土坑墓から1体の合計5体の人骨が出土した。出土人骨の所見から、1号壺棺墓に埋葬されたのは新生 児期から幼児期の間の年齢の子供と考えられている。1号壺棺墓の壺は、脚部が折れた高坏形土器を蓋とする。43号土坑墓には、出土人骨の所見から、壮年から熟年期の人物が埋葬されていた。壺棺墓には幼児期までの人物が、円形周溝墓や土坑墓には成人期の人物が埋葬されていた(竹中正巳・下野真理子(2014))。
調査
遺構
- 壺棺墓
- 甕棺墓
- 立石(板石)
- 円形周溝墓
- 土坑墓
遺物
- 上加世田式土器
- 入佐式土器
- 刻目突帯文土器
- 打製石鏃
- 楔形石器
- 石錐
- 石匙
- 削器
- 磨製石斧
- 打製石斧
- 石皿
- 磨石
- 敲石
- 石錘
- 異形石器
- 突帯文土器
- 入来式土器
- 磨製石鏃
- 中津野式土器
- 東原式土器
- 笹貫式土器
- 丹塗研磨土器
- 二重口縁壺
- 須恵器
- 磨製石鏃
- 砥石鉄鏃
- 鉄剣
- 鉄刀
- 人骨
考察
展示
指定
所在地等
- 名称: 南摺ヶ浜遺跡
- 所在地:鹿児島県指宿市十二町字黒ヶ岡
- 交通:
参考文献
- 鹿児島県埋蔵文化財センター(2009)「南摺ヶ浜遺跡」
- 竹中正巳・下野真理子(2014)「鹿児島県指宿市南摺ヶ浜遺跡から出土した古墳時代人骨」南九州地域科学研究所所報第30号、pp.13~16
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