松戸市立博物館 ― 2024年12月29日 00:15
松戸市立博物館(まつどしりつはくぶつかん)は千葉県松戸市にある総合公園「21世紀の森と広場」に所在する「見て・触れて・体全体で感じる」を基本コンセプトにした市立博物館である。
概要
1993年(平成5年)4月29日、松戸市制の50周年記念事業として松戸市立博物館は開館した。旧石器時代から現代までの松戸の歴史を扱う。 展示は、総合展示(人類の歩みから都市への歩みまで)、主題展示(考古学と科学の眼、虚無僧1月寺、二十世紀梨の誕生、三匹獅子舞)に分かれる。ほかに、博物館建物の外の「縄文の森」に縄文時代の竪穴住居が3棟復元されている。「二十世紀梨」は、松戸市が誕生の地となる。 図書閲覧コーナー(閲覧無料)では歴史・民俗・考古学など当館所蔵図書の閲覧ができる。展示では2階に総合展示があり、常設展示360°VRツアーがある。古代については①人類の誕生、②狩りと採集のムラ、③稲作社会の誕生、④下総国のはじまり、⑤考古学と科学の眼、の5つのコーナーがある。イベントには学芸員講演会、館長講演会、体験教室(勾玉づくりなど)がある。昭和30年代の公団住宅の部屋を実物大で再現している。回遊式になっており、1フロアで全ての展示を見ることができる。
展示
古代では人類の誕生(旧石器時代)、狩りと採集のムラ(弥生時代、古墳時代)を扱う。
- 人類の誕生
- 市内で見つかった石器から旧石器時代の様子を紹介する。松戸で発見された最古の石器は約3万5000年前から3万2000年前である。
- 狩りと採集のムラ
- 「縄文人のくらし」、「ムラのうつりかわり」「人々の交流」の3つのテーマで紹介する。
- 稲作社会の誕生
- 「米づくりのくらし」、「古墳の出現」の2つのテーマで、約1000年間の弥生時代から古墳時代への移り変わりを取り上げる。河原塚1号墳は縄文時代後期の貝塚の上に築かれた古墳である。
- 下総国のはじまり
- 「古代の松戸」をテーマとして、主に松戸市内で見つかった古代の資料などを紹介する。
- 考古学と科学の眼
- 「年代を測定する」、「環境を復元する」の2つのテーマで展示する。「年代を測定する」、「環境を復元する」の2つのテーマで展示する。
館蔵資料展・企画展
企画展「たてたて あなあなー竪穴建物の世界」
- 開催期間:2024年(令和6年)4月27日(土曜)から同年6月2日(日曜)まで
- 趣旨:松戸市内でみつかった竪穴建物を中心に、出土した資料や写真から古代の竪穴建物を紹介する。
企画展「異形土器 縄文時代の不思議なうつわ」
- 開催期間 令和6年9月14日(土曜)から同年11月4日(月曜・休日)
- 趣旨:東日本各地の異形土器を通じて、地域間の関わり合いの実像を探る。
アクセス等
- 名称:松戸市立博物館
- 開館時間:9時30分から17時まで(入館は16時30分まで)
- 休館日:毎週月曜日(祝日・休日にあたる場合は開館し、翌日休館)
- 入場料 -一般 310円
- 所在地:〒270-2252 千葉県松戸市千駄堀671
- 交通:新京成線「八柱駅」・JR武蔵野線「新八柱駅」下車、徒歩15分/JR常磐線「新松戸駅」下車、松戸新京成バスのりば3の八柱駅行「森のホール21・公園中央口」下車すぐ。(乗車:約20分)
牛川人骨 ― 2024年12月29日 00:26
牛川人骨(うしかわじんこつ)は1957年5月に愛知県豊橋市牛川町の牛川洞穴遺跡で発見された、国内最古の化石人骨と推定された骨である。その後、クマの骨と特定された。
概要
牛川人骨とされる化石骨2点は、東京大学総合研究博物館に収蔵されており、実物から型取りした複製品を豊川市美術博物館が所蔵する。
国内最古の化石人骨の指摘
東京大学教授の鈴木尚と高井冬二が、第1人骨は左上腕骨の破片で身長134.8センチメートルと現代人より背の低い大人の女性、第2人骨は左大腿骨の破片で身長は149.2センチメートルと背の低い大人の男性の骨と提唱した(鈴木尚(1982))。年代は更新世後期(約10万年前)として当時としては国内最古の化石人骨とされていた。1958年12月24日の朝日新聞で報道された。経緯は牛川町の石灰岩採石場で爆破作業をしたところ、赤土の中からニホンムカシジカ・タヌキ・ハタネズミなどの獣骨と一緒に人骨のようなモノが発見された。この時の従業員の一人、田中伝はこの骨を牛川小学校教頭の石川一美氏に届けた。骨を受け取った石川は、当時、渥美半島の伊川津遺跡で発掘調査をしていた東京大学の鈴木尚教授に鑑定を依頼した。一年半にわたる綿密な研究の結果、衝撃的な発表に踏み切った。二年後の昭和34年2月、同じ場所で、紅村弘が成人男性の大腿骨の破片を採集し、牛川第二人骨と名づけた。
ヒグマの骨の見解
1990年代以後、ヒトの化石骨ではない可能性が指摘されていた。2022年(令和4年)9月16~19日に行われた第76回日本人類学会大会・第38回日本霊長類学会大会連合大会において、東京大学特別教授の諏訪元氏らから「牛川人骨」はヒグマの骨であるとする見解が出された。「牛川人」化石と一部の比較標本についてCT撮影し,断面画像と3次元モデルを用いた比較所見の結果である。南西諸島出土の化石以外では、日本の旧石器時代に帰属するとされる人類の化石は、現時点では静岡県の根堅洞窟で発見された浜北人骨のみとなった。
牛川原人の碑
出土地附近は史跡公園「牛川原人史跡公園」として整備されており、公園内に「牛川原人の碑」がある。
アクセス等
- 所在地 愛知県豊橋市牛川町乗小路32-513
- 交通 豊橋鉄道市内線 赤岩口行き終点下車徒歩20分
参考文献
- 諏訪元、佐宗亜衣子、佐々木智彦、中村凱、 遠藤秀紀、松浦秀治(2024)「「牛川人骨」の部位・動物種別の特定と学史略考」Anthropological Science ,早期公開
- 鈴木尚(1982)「Pleistocene man in Japan.」人類學雜誌,90 巻,Supplement 号
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