瀬戸内技法 ― 2024年09月03日 00:08
瀬戸内技法(せとうちぎほう)は旧石器時代の近畿西部、瀬戸内中央部で発達した系統的な石器製作技術である。
概要
鎌木義昌によって大阪府国府遺跡出土資料により『図説世界文化史大系』の中で解説・提唱され(鎌木(1960))、二上山北麓で採取された膨大な瀬戸内技法関連資料の検討を行なった松藤和人によって、修正・例証がなされた(松藤(1974)(1979))。 翼上剥辺石角の素材となる大型剥片の獲得(第1工程)を、石核に転じて規格化された翼上剥片を量産する(第2工程)。石核から横長の剥片をとりやすいよう打撃面を調整する工作が必要となる。最後に翼状剥辺に整形剥離を施し、国府型ナイフ形石器に仕上げる(第3工程)。 翼状剥片石核の性質として打撃面を調整する工作、すなわち山形状に打面調整を施すことが必須となる。瀬戸内技法と打面調整とは不可分な関係にあり、同時に瀬戸内技法を行なうために必要不可欠な調整技術である。もう一つの特徴として、打点の直線的な後退がある。 二上山北麓では礫の一端に交互に打撃を加えて、大きな剥離角で盤状剥片を剥ぎ取るという規則性がある。第2工程では盤状剥片を翼状剥片石核に転じて、翼状剥片を連続的に剥ぎ取る。
参考文献
- 絹川一徳(1988)『瀬戸内技法小考』岡山大学構内遺跡調査研究年報 5(1987年度)、pp.51-63
- 鎌木義昌(1960)「先縄文文化の変遷」『図説世界文化史大系日本1』角川書店
- 松藤和人(1974)「瀬戸内技法の再検討」『ふたがみ』学生社
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