倭国からの献使 ― 2024年12月15日 00:40
倭国からの献使(わこくからのけんし)は紀元後から古墳時代にかけての倭国から中国に献使したリストである。
概要
献使年、中国紀年、記載文献、中国皇帝、倭国の献使者、派遣人物をまとめた。
卑弥呼の中国への献使は2回、壹与の献使は3回ある。243年の卑弥呼の献使後、247年では壹与に変わっているから、この間に卑弥呼が亡くなったことは明らかである。
壹与がなぜ247年の次は265年だったのかは、国内の争乱に対応したためかもしれない。武官の張政に支援されて反対勢力との戦闘(ヘゲモニー争い)があったのではなかろうか。
266年から421年まで155年間に渡り、まったく中国に使者を派遣していない。「謎の4世紀」と言われる理由である。この期間は「武」の上表文に書かれるとおり、国内各地の征服に忙しかったのではなかろうか。
倭国からの献使
No | 献使年(西暦) | 中国紀年 | 中国皇帝 | 記載文献 | 倭国の献使者 | 備考(派遣人、トピックス等) |
1 | 57 | 建武中元二年 | 後漢・光武帝 | 『後漢書』 | 奴国王 | 大夫(氏名不詳)、印綬(金印含む) |
2 | 107 | 永初元年十月 | 後漢・安帝 | 『後漢書』 | 倭国王・師升 | (氏名不詳) |
3 | 239 | 景初三年(原文二年は誤り) | 魏明帝 | 『魏志倭人伝』 | 卑弥呼 | 難升米 |
4 | 243 | 正始四年 | 魏斉王(少帝) | 『魏志倭人伝』 | 卑弥呼 | 伊声耆、掖邪狗等八名 |
5 | 247 | 正始八年 | 魏斉王(少帝) | 『魏志倭人伝』 | 壹与 | 掖邪狗等 |
6 | 265 | 泰始元年 | 晋武帝 | 『魏志倭人伝』『晋書』『冊府元亀』 | 壹与 | 掖邪狗等二十人、張政帰国 |
6 | 266 | 泰始二年十一月 | 晋武帝 | 『日本書紀』、『晋書』武帝紀 | 壹与 | 「倭人来献方物」 |
7 | 421 | 永初二年 | 南朝宋武帝 | 『宋書』 | 倭讃 | 万里貢修 |
8 | 425 | 元嘉二年 | 南朝宋文帝 | 『宋書』 | 倭讃 | 司馬槽達 |
8 | 430 | 元嘉七年 | 南朝宋文帝 | 『宋書』『冊府元亀』 | 倭国王・珍 | 倭国王遣使献方物 |
8 | 438 | 元嘉十五年 | 南朝宋文帝 | 『冊府元亀』 | 倭国王・珍 | 倭国王遣使献方物 |
8 | 443 | 元嘉二十年 | 南朝宋文帝 | 『宋書』『冊府元亀』 | 斉 | 倭国王遣使献方物 |
9 | 451 | 元嘉二十八年 | 南朝宋文帝 | 『宋書』 | 興 | 遣使貢献 |
10 | 460 | 大明四年 | 南朝宋・孝武帝 | 『冊府元亀』 | 興 | 遣使献方物 |
11 | 462 | 大明六年 | 南朝宋・孝武帝 | 『宋書』 | 興 | 不明 | 12 | 477 | 昇明元年 | 南朝宋・孝武帝 | 『冊府元亀』 | 武 | 遣使献方物 |
13 | 478 | 昇明二年 | 南朝宋・順帝 | 『宋書』『冊府元亀』 | 武 | 献使、上表文提出 |
(1)石原 道博(1985)『新訂 魏志倭人伝』岩波書店
(2)坂本太郎, 井上光貞 (1994)『日本書紀』岩波書店
(3)宇都宮清吉, 内藤戊申 共編(1938)『冊府元亀』卷九百六十八,東方文化研究所
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