前田耕地遺跡 ― 2025年02月21日 00:22
前田耕地遺跡(まえだこうちいせき)はあきる野市にある縄文時代草創期から古代にかけての複合遺跡である。
概要
多摩川支流の秋川と平井川に挟まれた河岸段丘上にある。縄文時代草創期から古代までの集落跡が確認された。
調査
1976年(昭和51年)から1984年(昭和59年)にかけて発掘調査された。炭素年代測定により年代は青森県の大平山元遺跡(16,500 年前)に次ぐ、15,500年前と判明した。縄文時代草創期の住居跡2棟と石器作りの場と考えられる石器集中部が6か所発見された。河原のチャートなどを石材とした2,246点におよぶ石槍とその未完成品、50万点を超える数の剥片が出土した。大平山元遺跡では住居跡は見つかっていないので、本例が最古の縄文時代の住居跡となる。本遺跡の北東300mに同時期の秋川流域の拠点的集落と考えられる二宮森腰遺跡があり、前田耕地遺跡との間で交互に居住が繰り返されてきた。すなわち通年を通しての定住集落ではなかった。
石器
石槍は、「木葉形」と「柳葉形」に大別されるが、遺跡内で製作されたものは木葉形が多かった。弧状に抉りの入った抉入石器は、石槍の柄を真まっ直ぐに加工するためのものと考えられる。石槍を中心として石器2,616点が国の重要文化財に指定されている。
魚と動物の骨
焼土を伴い大量のサケの顎歯が約8000点出土しており、遡上してきたサケを多数捕獲し、加工していたことが判明した。
遺構
- 石器集中
- 竪穴建物2
- 屋外炉1
- 遺物集中1
- 集石土坑
- 炉
- 土坑
- 石器製作
- 屋外炉1
- 配石
遺物
- 槍先形尖頭器
- 両面調整石器
- 神子柴型石斧
- 有茎尖頭器
- スクレイパー
- 縄文土器(無文)
- 彫器
- 敲石
- 台石
- 礫器
- 石槍
- 石鏃
- 石匙
- 石皿
- 磨石
- 有溝砥石
- 尖頭器
- 細石核
- 搔器
- 剥片
- 掻器
- 削器
- 抉入削器
- 動物遺存体(サケ(顎齒)、クマほか)
- 磨製石斧
- 土錘
- 土偶
指定
- 1990年(平成2年)6月29日.29) 国の重要文化財「東京都前田耕地遺跡出土品」
- 1988年2月22日 都指定史跡、「前田耕地遺跡」
展示
- 東京都埋蔵文化財センター
- 石槍8本は国立歴史民俗博物館
アクセス
- 名称:前田耕地遺跡
- 所在地:〒197-0823 東京都あきる野市野辺1-1
- 交 通:東秋留野駅から徒歩7分
参考文献
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://ancient-history.asablo.jp/blog/2025/02/21/9756136/tb
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。