稲荷前古墳群 ― 2025年06月02日 00:05
稲荷前古墳群(いなりまえこふんぐん)は神奈川県横浜市港北区に位置する10基の古墳群である。
概要
青葉区大場町の横浜上麻生道路に面した丘陵上にある横浜市で最大の古墳群であった。当時は「古墳の博物館」とも言われた。保存運動もあったが当時の飛鳥田一雄市長は全国革新市長会の会長を務める革新系の市長であったが、プロ野球球団の誘致や港北ニュータウン計画を優先させ、史跡保存には消極的であった。1969年(昭和44年)、緑と文化を守る会は5月に横浜市の稲荷前古墳群の部分保有に抗議した。それらのことから1969年、宅地造成のため1号墳は消滅し、1967年、宅地造成のため6号墳(中心部に盗掘孔あり)は消滅した。4世紀後半から7世紀にかけて造られた古墳群である。現在は前方後方墳16号墳、方墳15号墳と17号墳の3古墳が現存し、保存公開する。16号墳はは発掘された壺形土器から4世紀のものとされ、関東地方としては最も古く珍しいものである。1号墳と6号墳(現存しない)と、前方後方墳16号墳は歴代首長の墓とされる。B横穴墓からは人骨、耳輪、鉄鏃、ガラス玉、刀子などが出土した。
調査
1967年(昭和42)年、1969年(昭和44年)の2次の発掘調査が行われ、1981年は甘粕健・山口隆夫が周濠を調査する。前方後円墳2基・前方後方墳1基・円墳4基・方墳3基の計10基の古墳と3群9基以上の横穴墓が発見され、管玉・ガラス小玉、鉄刀・鉄鏃、耳環などの副葬品が発見された。また墳丘下から弥生時代の住居跡と方形周溝墳2基が出土した。
規模
稲荷前1号墳
- 標高 60m
- 形状 前方後円墳
- 墳長46m
- 後円部径 径25m 高3.8m
- 前方部 幅18m 長21m 高2.5m
- 外表施設 葺石 なし
- 主体部
- 室・槨 粘土槨
- 出土品
- 管玉5
- ガラス小玉4
稲荷前6号墳
- 形状 前方後円墳
- 墳長 32m
- 後円部径 径15m 高7.5m
- 前方部 長17m 高2.7m
- 外表施設 葺石なし
稲荷前16号墳
- 形状 前方後方墳
- 墳長 37.5m
- 後円部 径1辺15.5m
- 前方部 幅14m
- 外表施設 葺石 なし
稲荷前15号墳
- 形状 方墳
- 規模 1辺12m
稲荷前17号墳
- 形状 方墳
遺構
遺物
築造時期
展示
指定
- 1970年(昭和45年)3月24日 神奈川県指定
考察
アクセス等
- 名称:稲荷前古墳群
- 所在地:神奈川県横浜市青葉区大場町156-10ほか
- 交通: 東急田園都市線市が尾駅から バス水道局青葉営業所前 徒歩 3分
参考文献
- 甘粕健・山口隆夫(1980)「横浜市緑区稲荷前16号墳の調査」(『第6回神奈川県遺跡調査・研究発表会要旨』
- 横浜市教育委員会事務局社会教育部(1982)『文化財シリーズ56-3:稲荷前古墳群保存整備事業報告書』横浜市教育委員会事務局社会教育部
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