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瓦が語る歴史2025年06月04日 00:05

明治大学博物館

瓦が語る歴史(かわらがかたるれきし)は、明治大学博物館の2025年における企画展である。

概要

  • テーマ:瓦が語る歴史 -前場幸治コレクションの名品-
  • 主催:明治大学博物館
  • 会場:明治大学博物館 特別展示室
  • 期日:2025年5月29日(木)から7月16日(水)
  • 趣旨:前場幸治氏は株式会社前場工務店の会長で、名棟梁として知られていた。一方、総数1万点に上る瓦のコレクションでも知られていた。瓦の収集は奈良時代の国分寺の瓦、古代の瓦、城郭の瓦のほか、中国、朝鮮、中央アジアに及ぶ。それらのコレクションは明治大学博物館に寄贈されている。今回は2010年、2013年に続く瓦の名品展である。 以下は展示された内の古代の特徴的な瓦を紹介する。(中世、近世以降は省略)。

瓦の誕生

  • 瓦は古代中国で発祥され、約3000年前の西周時代に宮殿や寺院の屋根に使われた。『日本書紀』によれば、日本には588年に百済から「瓦博士」が4名(麻奈文奴、陽貴文、陵貴文、昔麻帝弥)が来日し、飛鳥寺の瓦を作り始め、技術を伝えたとされる。当初の飛鳥寺は鎌倉時代に落雷で塔と金堂が焼失したが、発掘により創建瓦が出土している。

「元延元年都司空瓦」銘平瓦 

紀元前12年に中国で作られた瓦である。出土地は不明である。残存片13.3。厚1.6。 元延は、中国、前漢の成帝劉驁の治世の年号である。

高句麗の瓦(軒丸瓦)

三国時代の朝鮮半島。蓮蕾文軒丸瓦・高句麗の瓦は赤味が強いので、目立つ。8つの蓮の蕾が太い線で描かれる。直径14、厚3.5。帝塚山学院大学にも高句麗の瓦のコレクションがある。

楽浪郡の瓦

「大晋元康」銘垂木先瓦。元康は291年から299年である。「大晋元康」棰先瓦は東京国立博物館にもある。

山田寺の瓦

飛鳥時代、四重弧文軒平瓦。山田寺は、『上宮聖徳法王帝説』や『日本書紀』によれば、舒明十三年(641年)に蘇我倉山田石川麻呂の発願により造営が開始されたという。四重弧文軒平瓦は単弁八弁蓮華文軒丸瓦と組み合わせて用いられた。七世紀の瓦である。

飛鳥寺の瓦

飛鳥時代。素文縁複弁八葉蓮華文軒丸瓦、奈良県高市郡明日香村飛鳥682で出土。日本最古の瓦である。

平城宮の軒丸瓦

凸鋸歯文複弁八葉蓮華文軒丸瓦。直径16.5、厚4.1。デザインはかなり簡素化されている。

常陸国分寺の瓦

奈良時代、素文珠文縁素弁十葉蓮華文軒丸瓦、素朴な瓦である。直径17.5、厚4.4。

神奈川県千代廃寺の瓦

奈良時代。「大伴五十戸」銘をもつ稀少な文字瓦である。千代廃寺は奈良時代に創建されたと考えられている。直径19.4、厚1.0。

中広形銅矛

弥生時代、出土地不明。当初は柄をつけて槍のように使ったが、鉄器が普及すると大型化し、祭祀に使用した。

手焙型土器

愛知県安城市出土。鉢の上に覆いをつけた土器である。祭祀に使われたとみられる。弥生時代前期から古墳時代。九州から千葉県まで分布が広がる。

所感

今回出展された瓦は前場幸治コレクションのホンの一部である。今回は出ていないが、統一新羅の瓦など優品がある。文字瓦は「国分寺」のほか「崎」「榛」「荏」など生産地が書かれた瓦は貴重である。

参考文献

  1. 明治大学博物館所蔵(2014)「前場幸治コレクション」資料目録