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山王塚古墳2025年07月22日 00:10

山王塚古墳(さんのうづかこふん)は、埼玉県川越市に位置する7世紀の上円下方墳である。

概要

川越市大東地区、入間川右岸の台地上にある上円下方墳である。上円下方墳は古墳時代終末期の7世紀後半から8世紀初めに築造された首長墓である。山王塚古墳は7 世紀後半の終末期古墳である。日本最大の上円下方墳とされる。上円下方墳は珍しく、発掘調査により墳形が確認されたものは全国でも6例だけである。 下方部一辺69メートル、上円部径37メートル、高さ5メートルであり、上円下方墳の中でも最大の規模となる。南大塚古墳群のひとつである。上円下方墳は関東を中心に分布する。 山王塚古墳の墳丘は上円部と下方部からなるが、原則として旧地表面上にローム土を芯材として積み上げている。形状や構築方法は、武蔵国の地域的な要素と畿内的な要素の双方が確認されている。 2022年12月16日、文化審議会(佐藤信会長)は国内最大の上円下方墳の山王塚古墳(埼玉県川越市)を新たに史跡に指定するよう、文部科学相に答申した。

調査

川越市は平成24年度から山王塚古墳の発掘調査を実施している。平成24年度の墳形確認調査、平成27年度の周溝確認調査に続く第3次調査では周溝補足調査、埋葬施設確認調査のため、山王塚古墳に5本のトレンチ(試掘坑)を入れた。下方部南側に設けた9・10・13号トレンチでは、下方部を巡る上幅約15メートル、深さ約50センチメートルの周溝が検出された。周溝は南側で途切れ、ロームを掘り残したブリッジ(陸橋)部となる。また、周溝から下方部下にかけて墳丘構築土であるロームの採掘坑が確認された。 石室石材としては、大量の河原石、角閃石安山岩、緑泥片岩の破片が出土した。 第一次調査では幅9mの周溝を発見し、地表面から2.3mの高さで周溝底部を検出した。第二次調査の報告では、東側の周溝が狭いと指摘されている。第五次調査では古墳の北東隅の範囲が確認された。平成26年、地中レーダー探査により、山王社参道付近の地中の主体部は複室構造の横穴式石室と推定された。埋葬主体部は、3室が直線的に連なる横穴式石室である。石室から河原石の礫床、角閃石安山岩の側壁、緑泥片岩の前門柱石を検出し、須恵器、ガラス小玉、鉄釘が出土した。

規模

  • 形状 上円下方墳
  • 上円部直径37m
  • 下方部一辺69m
  • 周溝外縁一辺約90m
  • 墳丘盛土高さは5m

遺構

  • 横穴式石室

遺物

  • 鉄地銀張製帯先金具1点
  • 大甕 数個体分 須恵器
  • フラスコ形長頸瓶
  • 鉄釘
  • ガラス小玉
  • 須恵器の平瓶

指定

  • 1948年3月6日 川越市指定文化財(史跡)に指定された。
  • 2023年3月20日 国指定史跡

展示

  • 川越市立博物館

上円下方墳

  • カラト古墳 - 奈良県奈良市神功、7世紀末~8世紀初頭
  • 清水柳北1号墳 - 静岡県沼津市足高尾上、8世紀初頭
  • 野地久保古墳 - 福島県白河市本沼、8世紀初頭
  • 府中熊野神社古墳 - 東京都府中市西府町、7世紀後
  • 天文台構内古墳 - 東京都三鷹市大沢、7世紀後半

アクセス

  • 名称:山王塚古墳
  • 所在地: 埼玉県川越市川越市大塚1丁目・豊田町3丁目
  • 交 通: 西武鉄道南大塚駅から徒歩20分。JR・東武川越駅から徒歩30分

参考文献

  1. 大塚初重(1996)『古墳事典』東京堂出版
  2. 青木敏(2022)『古墳図鑑』日本文芸社
  3. 川越市教育委員会(2019)『山王塚古墳 総括報告書』
  4. 山王塚古墳、国史跡に時事通信社、2022年12月16日