石塚山古墳 ― 2024年11月25日 23:00
石塚山古墳(いしづかやまこふん)は福岡県京都郡苅田町に所在する4世紀初頭の前方後円墳である。
概要
福岡県の周防灘を望む緩斜面に築かれている古墳時代前期の前方後円墳である。九州最大最古の定型化した典型的な畿内型前方後円墳となっている。墳丘は前方部は2段、後円部は3段である。墳丘は全面に葺石が施される。各稜線には水みちが設けられる。墳丘下に3条の暗渠が北から南に走り、西側の暗渠は墳裾から南に3mの地点で東に延びる。 前方部は墳丘上にある神社建立時に上面が削平されている。墳丘には葺石が見られるが、埴輪の存在は確認されていない。江戸時代の1796年に長さ5.5m、幅・高さとも1mの竪穴式石室が発掘されている。埴輪は確認されていない。江戸時代に三角縁神獣鏡が出土している。 鏡を含む出土品は1953年に国の重要文化財に指定されている。
調査
内部は墳丘中央に前向きに置かれた横口式石室で、「高松塚型」の石棺式石室とされている。凝灰岩切石を用いて、石室の規模は長さ約2.6n、幅1.04n、高さ1.06m。天井部は屋根型に0.1m、跨り込まれる。天井石は組み合わせ式である、灰白色粘土を詰めて、目張りを施す。石室閉塞の扉石は側壁南端部との接合に陵角を設ける。石室前面の墓道を設け、幅約3m、長さ5mの断面U字型を呈し、石室の南2.6mに礫敷がみられる。底面には道板を抜き去った跡の溝が2条検出される。 出土遺物は石塚山古墳より少し離れた宇原神社に所蔵されている。小倉藩主「小笠原家文書」によると銅鏡11面(「宇原神社由来記」によると14面)と金具が出土したと伝えられる。現存する鏡は岡山県備前車塚古墳、京都府椿井大塚山古墳などの出土鏡と同笵である。 1987年に再発掘が実施され、後円部の石室は大破していることがわかった。この時の発掘では細線式獣帯鏡片、琥珀製勾玉、碧玉製管玉、小札革綴冑片などが出土。
規模
- 形状 前方後円墳
- 築成 前方部:2段、後円部:3段
- 墳長 110m
- 後円部径 径60m 高9.5m
- 前方部 幅40m 長44m 高3.5m
- 標高 - 8m
遺構
- 横口式石室
遺物
- 三角縁神獣鏡7以上 舶載
- 獣帯鏡1(伝中国鏡11出土)。
- 素環頭大刀
- 銅鏃
- 細線式獣帯鏡片
- 琥珀製勾玉
- 碧玉管玉 3
- 小札革綴冑片
- 素環頭大刀
- 類銅鏃:大形11以上
- 柳葉12以上、
- 小札革綴冑
- 斧5。
築造時期
- 古墳時代前期
指定
- 1985年(昭和60年)国の史跡指定
- 2017年(平成29年)10月13日 史跡範囲の追加指定
アクセス等
- 名称:石塚山古墳
- 所在地:福岡県京都郡苅田町富久町1丁目
- 交通: JR苅田駅より徒歩15分 苅田町役場の横
参考文献
- 肥後和男・竹石健二(1973)「日本古墳100選」秋田書店
- 大塚初重(1996)『古墳辞典』東京堂出版
- 長嶺正秀(2020)『筑紫政権からヤマト政権へ 豊前石塚山古墳〔改訂版〕』新泉社
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