塩田北山東古墳 ― 2025年05月20日 00:28
塩田北山東古墳(しおたきたやまひがしこふん)は神戸市北区にある古墳時代の前方後円墳である。
概要
兵庫県神戸市北区道場町塩田の見晴らしの良い丘陵上に作られた前方後円墳である。古墳時代前期の前方後円墳はこの地域では珍しい。前方部を西に向け、主軸をほぼ東西方向にとる。最終的に全長35m、後円部径22m、前方部長14m、後円部高2.5mを測る墳丘規模の前方後円墳である。墳丘に4基の埋葬施設がある。外表施設は葺石・埴輪ともに確認されていない。畿内の墓制の特徴(前方後円墳形状、三角縁神獣鏡の副葬、粘土槨に長大な木棺を置く)がこの地域まで及んでいることが示された。
第一主体部
第一主体部は後円部の中央付近にあり、長さ8mの墓坑の底に粘土を厚く敷き、その上に長さ7mの木棺を置く。副葬品として中央区画に青銅鏡・緑色凝灰岩製管玉・ガラス小玉、東区画には袋状鉄斧・鉄製刀子・鉄製ヤリガンナ等の鉄製工具類があった。 三角縁仏獣鏡があった。木棺は長さ6.9mと長大で、粘土槨に残された土層横断面の観察から、棺身は直径約80cm、断面半円形の割竹形木棺と見られる。棺内部には赤色顔料が検出された。
第二主体部
第一主体部に寄り添うようにして、もう1基の粘土槨(第二主体部)が埋設されていた。両主体部は同時埋葬ではなく、第二主体部は時間差を置いて構築されている。棺内副葬品は、碧玉製紡錘車形石製品、鉄剣、鉄製刀子、鉄斧、ヤリガンナが各1点と、鉄製刀子片が2点、鉄片1点が、 3箇所に分かれて置かれていた。
青銅鏡
鏡面を上にした状態で棺内南側に立てかけられるように出土した。木棺の中に副葬されていた青銅鏡は三角縁仏獣鏡であり、仏像を意匠とする希少な古鏡である。三角縁神獣鏡の1種であるが、神像の代わりに仏像を配置した。仏像が描かれる鏡は椿井大塚古墳(京都)、天神山古墳(岡山)、赤城塚古墳(群馬)など9面だけである。本鏡は10破片以上に割れて出土した。鋳上がりは図像にやや甘さが見出されるほか、笵傷が観察された。付着物は鏡面に布残片が1箇所ある。X線透過画像での観察に寄れば、破断面周辺の腐食が明瞭であった。直径22.5cm、厚さは内区0.7~ 1,2mm、外区3.9~ 4.5mm、現存重量は1087.Ogである。主文様は仏像1・神像3・獣像4が配され、乳を基部とする傘松文1がある。ら走獣像9体を刻んだ上から、「天王日月」方格が6個彫刻される。三角縁仏獣鏡は3世紀頃に中国で作られたとみられる。中国でもかなり早い時期の仏教画像とみられる。
調査
規模
遺構
- 墳丘
- 粘土槨
遺物
- 三角縁仏獣鏡
- 鉄剣
- 鉄製工具類
- 碧玉製紡錘車形石製品
- 石製管玉
- ガラス小玉
- 土師器
- 木棺材
- 赤色顔料
築造時期
指定
アクセス等
- 名称:塩田北山東古墳
- 所在地:神戸市北区道場町塩田字川北
- 交通:
参考文献
- 神戸市教育委員(2008)「塩田北山東古墳 発掘調査報告書』神戸市教育委員会
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