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史料批判2023年07月08日 16:58

史料批判(しりょうひはん、(独)Quellenkritik)は、歴史的史料を用いるときに様々な面からその正当性、妥当性を検討することをいう。過去の史料を「批判的に読む」ことは歴史学の基本である。

概要

近代的な歴史学の方法論を提唱した19世紀ドイツの歴史家レオポルト・フォン・ランケが提唱した歴史学研究法である。ランケは厳密な史料批判に基づく客観的な歴史記述の方法を確立した。

史料批判が必要となる理由

史料批判が必要となる理由はいくつかある。 第一に利害関係の絡む事項の史料は虚偽が混じることがある。第二に手書きで書写された場合は、写し間違いが脱落が起こり得る。第三に一次史料に相当するか、二次史料であるかを吟味する必要がある。

史料批判の方法

史料批判は、一般に文献史料について外的批判と内的批判とがある。

外的批判

  • ①真正な史料かを調べる、
    • 偽書はありえる。偽書を使用した論証はあり得ない。
  • ②資料作成の時期
    • いつ作られたかは重要な要素である。出来事と時間が離れていれば、記憶違いなどが起こり得る。同時代史料の方が優先される。
  • ③資料作成の場所
    • どこで作られたか(場所)、作成した日時や場所を明らかにすることは、事の経過や状況を明らかにするために重要である。
  • ④オリジナルな形式で作られたか(一貫性)
    • 他の史料の引用または孫引きか、著作者本人の見聞したことか、誰かからの伝聞かにより評価が異なる。
  • ⑤史料間の異動
    • 史料と先行する史料とで異動や食い違いがあるかどうか。食い違いがある場合は、どちらがより正しいかを吟味する。同じ事柄について書かれた複数の史料を読み比べ、さまざまな手法で史料を分析する。ある史料に書かれていることが、他の史料では書かれていないことがある。

内的批判

  • ⑥誰が作ったか(著者の情報)
    • その史料の作者の立場、地位・性格・職業・系統等が明らかにされれば、それがその史料の信頼性等を判断する要素となる。史料は執筆者による故意の歪曲(曲筆)が加えられ、悪意や恣意的な推測がある場合もある。 史料の記録性をその執筆者・伝承者によって判断する。
  • ⑦既存資料から作られていないか(本源性)
    • 史料製作者は、一般常識となっている歴史的知識を無視できない。歴史的知識や事実を無視した記述であれば作り話という評価を受け、歴史的事実としては認められない公算が大きくなる。
  • ⑧信頼性
    • 内容が信頼できるものか、断片的な記述しかない記事でないか。特定の文書・記録は執筆者の学識や精神状態によって左右される。

参考文献

  1. 佐藤真一(2022)『ランケと近代歴史学の成立』知泉書館

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