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金鈴塚古墳2025年05月01日 23:03

金鈴塚古墳(きんれいづかこふん)は千葉県木更津市にある前方後円墳である。 日本百名墳に選出されている。

概要

木更津市の小櫃川下流の沖積平野にある「浜長須賀」と呼ばれる標高約5.5mの微高地に位置する。埴輪がないため、前方後円墳終末期の古墳と見られる。民家に囲まれた後円部の一部と横穴式石室が残る。 日本で唯一、純金製の鈴「金鈴」が出土したことから「金鈴塚古墳」と呼ばれる。 出土品は国指定重要文化財として、「木更津市郷土博物館金のすず」で保存展示される。後円部の一部と横穴式石室が保存されている。飾り大刀は約20振で全国最多の量と種類を誇る。全体では目録で490件、個体で961件、破片まで数えると6000点を超える。 1950年(昭和25年)の調査で石室や石棺内で出土した金鈴をはじめとする遺物は、古墳時代後期を代表するものとして、重要文化財に指定されている。墳丘の大きさ、豪華な副葬品、最新の技術を取り入れた石室構造から金鈴塚古墳は古墳時代後期(6世紀後半)に築造され、大和政権と強い結びつきを持った有力な豪族の墓と見られる。

調査

1950年(昭和25年)の早稲田大学と千葉県教育委員会の発掘時に、石室内に少なくとも3体の遺体が埋葬されていたことが確認されている。石室は未盗掘であった。主軸長は約95mと推定された。その後の調査により、周濠は二重周濠であることが判明し、内側の周濠は約1メートルの幅である。現在、後円部の一部(石室含む)のみ残存する。1933年の里道工事により前方部は削平されている(金銅製飾履など出土した)。金鈴塚古墳の墳丘長は約100m、二重周濠の外側までの全長は140mと推定された。石室に流入した土砂の量などから築造当時の墳丘高さは6メートル程度と推定されている。

石室

横穴式石室は凝灰岩を横積にし、ほぼ南に開口する。石室内には緑泥片岩製の箱形石棺が設置されている。箱式石棺は長さ237×幅94×高さ85ミリ(推定1.21トン)である。

矢穴

石割方法には、「矢穴技法」(膨らみを持つ矢の胴部から矢穴側面に圧力を加えて石材を割る)と「矢割技術」(クサビ状工具の刃先が矢穴底部を直接割り込んで石材を割る)の2種類がある。 金鈴塚古墳の箱式石棺に石割用に加工した「矢穴」の痕跡があり、「矢割技術」を適用したと見られる。石の表面の凹凸を手斧のような工具で平たんに加工した痕跡も見つかり、昭和25(1950)年の発掘調査から70年目で石工技術が明らかになった。緑泥片岩製の石棺で「矢穴」が見つかったのは金鈴塚古墳が初めてであり、日本における石材加工技術史を考えるうえで非常に貴重な発見であった。*金鈴

  • 鈴は主に関東地方で出土するが、銅に金メッキされたものがほとんどであり、純金製は珍しい。金鈴塚の鈴が59点以上あり最多である。金製の鈴の出土は金鈴塚古墳が唯一の出土であり、直径一センチ前後の小型の鈴が5個あった。
  • 金鈴の組成は金97.9%、銀1.9%、銅0.2%と極めて純度の高い金である。

規模

  • 形状 前方後円墳
  • 築成 後円部:3段
  • 墳長 95m
  • 後円部 径55m 
  • 前方部 幅72m 

主体部

  • 室・槨 横穴式石室(無袖式、凝灰質砂岩板材持ち送り積み)
  • 棺 組 緑泥片岩製の箱形石棺

遺物

  • 【鏡】
    • 三神五獣鏡1 - 倭製
    • 変形四獣鏡1 - 倭製
  • 【玉類】
    • 滑石:
    • 臼玉2、
  • メノウ:
    • 勾玉1、
    • ガラス製丸玉20
    • ガラス製小玉561。
  • 【装身具】
    • 金銅製耳環6(3対)、
    • 横櫛3片、
    • 金鈴5・
    • 銀製茄子形垂飾6・
    • 宝相華文垂飾具1・
    • 金糸・
    • 銀糸・
    • 銀製唐草透彫金具・
    • 銀針金鎖・
    • 金製瓔珞・
    • 金銅製飾履。
  • 【武器・刀剣類】
    • 環頭大刀7・
    • 圭頭大刀3
    • 円頭大刀1
    • 方頭大刀1
    • 頭椎大刀2
    • 鳥首大刀3
    • 断片6
    • 鉄鉾 3
    • 鹿角桿1
  • 【武器・鏃】
    • 長頸鏃:細身式・広身式約500。
  • 【武具】
    • 衝角付冑:1、
    • 挂甲(小札1574)・
    • 弭7。
  • 【農工具】
    • 刀子(鹿角装7・その他5)・
    • 斧2・
    • 釘。
  • 【馬具】
    • 轡3(鏡板6)・
    • 鞍(前後輪)3・
    • 鈴54・
    • 金銅飾金具16・
  • 鐸6・
    • 杏葉8・
    • 雲珠13・
    • 辻金具3・
    • 鋲留方形金具18・
    • 鐙2・
    • シオデ1
    • 覆輪断片・
    • 海断版・
    • 鉸具・
    • 鋲留金具。
  • 【土師器】
    • 高杯18(大型15・小型3)・
    • 杯3・
    • 耳付椀1・
    • 蓋付皿4。
  • 【須恵器】
    • 台付盤1・
    • 杯(完形75・復原可能36)・
    • 高杯(完形38・復原可能14)・
    • 杯蓋(完形50・復原可能5)・
    • 椀2・
    • 坩1・
    • 台付瓶6・
    • 平瓶1・
    • 提瓶1
    • 横瓶3。
  • 【その他】
    • 銅鋺(承盤付2・高台付1・身のみ1)
    • 金銅製葆
    • 繊維類(綴織・両面変り綾・平織)
    • 異形木器。

築造時期

  • 築造は6世紀末頃(古墳時代後期)とされる。

被葬者

  • この地方を治めた馬来田国造か、国造に直結する一族の者が埋葬されたとみられる。

指定

  • 1959年06月27日 - 国指定 重要文化財
  • 1950年11月3日 - 千葉県指定 史跡

考察

純度の高い金鈴をどこで製作したかが問われるが、日本製ではない。日本で初めて金がみつかったのは、奈良時代の749年である。武寧王の金製冠飾りが出土していることから、百済でまたは高句麗由来ではなかろうか。

アクセス等

  • 名称:金鈴塚古墳
  • 所在地:千葉県木更津市長須賀字熊野廻430
  • 交通:木更津駅から徒歩で15分

参考文献

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