スタンプ形石器 ― 2025年08月19日 13:30

スタンプ形石器(すたんぷがたせっき)は自然の礫石を三角形またはT字形に成形し、その両端側線を抉って持ちやすくし底面を平らにした石器である。
概要
楕円形の河原石の半分を打ち欠き、平坦面を作り出した石器もスタンプ形石器である。縄文時代早期の撚糸文期に特徴的な石器とされる。ラグビ-ボ-ル状や棒状の楕円形の礫を半分に打ち欠いて、手に持ちやすいように両側縁に簡単な剥離を加えて調整したものである。底面の平坦部が機能面(打撃面)となる。面形状は楕円の場合が多いが長方形もある。三角錐型石器は三角錐の形であり、側面3面のうち1面は必ず自然面が残るため区別される。堂ヶ谷戸遺跡のスタンプ形石器の素材は砂岩である。
用途
食料などを叩いたり潰したりする石器と想定される。片手で握って使用されたと推測され、底面が摩滅していることから、敲石や磨石と同様の調理道具と考えられている
名称由来
印章のスタンプに似ているため、名がついた。 昭和31年、考古学者の芹沢長介が「岡本君の提案によってスタンプ形石器として」と語ったと小田静夫(1983)が紹介する。凡字形石器とも言われる。
用途
平らな面を用い木の実や食料等を潰す用途に使ったと推測されている。
出土例
- スタンプ形石器 - 萩山遺跡、埼玉県熊谷市千代、縄文時代早期、
- スタンプ形石器 - 堂ヶ谷戸遺跡、東京都世田谷区、縄文時代 早期
- スタンプ形石器 - 上神明遺跡、東京都世田谷区、縄文時代 早期
- スタンプ形石器 - 新潟県長岡市中潟町出土、縄文時代(早期)、東京国立博物館
- スタンプ形石器 - 東京都国分寺市西元町・多喜窪出土、縄文時代(早期)、東京国立博物館
考察
なぜ縄文時代早期の時代だけでスタンプ形石器が使用されたかは謎である。磨石など同様の用途の石器が普及したためではなかろうか。スタンプ形石器は作り方が簡単であり、もろかったとか、使いにくかったとかの要因がありそうだ。
参考文献
- 小田静夫(1983)『縄文文化の研究 (道具と技術)』7、雄山閣出版
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