特殊壺 ― 2025年05月09日 00:26
特殊壺(とくしゅつぼ)は弥生時代後期に吉備地方南部で作られた壺である。吉備壺ともいう、
概要
壺の本体は浅い皿状であり、壺の中央部にかけて緩やかに広がって最大径となる。 長い首に、二重口縁は大きく外側に出る。胴の張り出部分に、樽や桶のタガのような突帯が、二条から三条がつく。底は平底であり、焼き上げた後に底部を穿孔する。 丹で赤く塗るなど、装飾性が豊かである。首長の埋葬儀礼(儀式)で使用された。 特殊壺(吉備壺)と特殊器台(吉備器台)は対になって出土していることから、特殊器台の上に特殊壺が乗せられて使用したと考えられている。サイズとしてもピタリとはまる寸法である。 吉備地方以外では広島県矢谷古墳、などで出土する。 壺形埴輪の元型という説がある。
出土例
- 特殊壺 中山遺跡、岡山県真庭市、弥生時代後期後半から末
- 特殊壺 西江遺跡、岡山県新見市、弥生時代2世紀から3世紀
参考文献
- 大塚初重(1996)『古墳事典』東京堂出版
都月坂1号墳 ― 2025年05月09日 00:31
都月坂1号墳(とつきさかいちごうふん)は岡山県岡山市の標高74.8mの丘陵の尾根に位置する前方後方墳である。
概要
独立丘陵の半田山と鳥山に繋がる丘陵尾根に位置する都月坂古墳群の1基である。尾根上の山道からその脇に位置する。前方部は低く狭くなり、前端が開いて撥形の形状となる。前方部を南西に向ける。墳丘斜面あるいは裾部から円筒埴輪及び底部穿孔の壺形埴輪片が出土する。墳丘の南側の墳丘裾に石垣状の列石が見られる。 後方部中央に昔の盗掘により破壊された長さ4m、幅0.6mから0.8mの竪穴式石室が僅かに残る。
築造順番
弥生時代の後期に2号墓(方形の弥生墳丘墓、2世紀後半頃)が築かれ、続いて古墳時代に入り1号墳(前方後方墳、古墳時代始め頃)・3号墳(前方後円墳)と築かれた。4号墳は既に削平されてしまった。 弥生墳丘墓から古墳に移行する経過を1つの古墳群で見ることができる。
都月型
円筒埴輪を「都月型」とよび、吉備で盛んに作られた弥生墳丘墓の伴う供献土器である。特殊器台型埴輪は「都月型」として弥生時代から古墳時代にかけての標識土器となる。 「都月型埴輪(=特殊器台形埴輪)」の名祖遺跡とされる。
調査
岡山大学が数回の発掘調査を行う。
規模
- 形状 前方後方墳
- 築成 前方部:1段、後方部:2段
- 墳長 33m
- 後方部 径1辺15m 高1.5m
- 前方部 長13m 高1.75m
主体部
遺物
- 碧玉製管玉1
- 鉄剣1
- 斧1
築造時期
- 前1期前半(4世紀前半)
被葬者
指定
- *考察
アクセス等
- 名称:都月坂1号墳
- 所在地:岡山県岡山市北区津島本町
- 交通:
参考文献
- 近藤義郎(1983)「前方後円墳の時代」岩波書店
- 近藤義郎・春成秀爾(1967)「埴輪の起源」『考古学研究』13巻3号
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