葡萄唐草文 ― 2025年07月05日 23:51
葡萄唐草文(ぶどうからくさもん)は葡萄の房、つる、葉などで模様を構成する唐草文である。
概要
古代の葡萄栽培は、数千年前に古代エジプトやメソポタミア、ギリシャ、ローマ 中唐のアッシリアで始ったといわれる。ワイン造りはギリシア、ローマ、ササン朝ペルシアなどで行われた。エジプトでは紀元前3000年に葡萄栽培が始まったとされる。 日本では奈良時代に僧侶の行基が中国から薬として葡萄を伝えたとの説がある。 唐草文は植物の蔓や葉が互いに絡み合っている図を抽象化して文様にしたものである。 唐草という植物はない。葡萄唐草文は日本では風呂敷の文様にもなっている。 葡萄の蔓に葉と房を配して連続的に展開した文様である。西アジアでは葡萄を不死の生命の象徴と考えていた。中国では染織・金工・漆芸品などの模様に多用された。葡萄は多くの実をつけることから豊穣を象徴する植物である。山口恵子(2005)は特徴を第一に蛇行と旋転、第二に繰り返しと反覆によって,連続性が保たれていることを挙げる。また唐草文様の起源は古代エジプ トのロータス(睡蓮)が始まりだといわれていると指摘する。古代ギリシャでは優美な線を持ったパルメット唐草となり、壷絵などの装飾や建築装飾に多用された。 日本に伝わると、正倉院の錦など布製品の模様となった。江戸時代には木綿の布団、争伏紗、風目敷等、藍染作品に唐草文様が頻繁に使われた。
出土
- 葡萄唐草文軒平瓦破片 -戒那山出土、京都国立博物館
- 葡萄唐草文鴟尾 - 奈良国立博物館、奈良時代
- 褥 葡萄唐草文錦 - 東京国立博物館、奈良時代・8世紀、重要文化財
- 正倉院裂 - 赤地葡萄唐草文綾 - 京都国立博物館、奈良時代、
- 葡萄唐草文錦 - 正倉院、
- 縹地葡萄唐草文錦 第16号(東大寺屏風2-3) - 北倉 182
- 紫地狩猟文錦 第12号(東大寺屏風1-5)- 正倉院、北倉 182
参考文献
- 山口恵子(2005)『「唐草文様」風呂敷のシルクロードの旅』日本衣服学会誌
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