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上神明遺跡2025年08月23日 00:42

土師器(甕)/世田谷区郷土資料館

上神明遺跡(かみのしんめいいせき)は、東京都世田谷区成城にある旧石器時代から古墳時代、古代、近世の複合遺跡である。

概要

本遺跡は世田谷区成城4丁目3から11番、五丁目10番、11番に所在する標高40mから45mの武蔵野段丘面上に位置する。野川(旧入間川)左岸の国分寺崖線沿いにあり、崖線下には豊富な湧水がみられる「成城みつ池緑地」がある。緑地にはヒマラヤスギや、緑地内に自生するイロハモミジが植えられている。敷地内に4カ所の湧き水があり、湿地帯を形成する。 遺跡の範囲は東西360m、南北500mと推定されている。鉄道小田急線の沿線であり、国分寺崖線の傾斜地の最下部に野川が流れる。 上神明遺跡の発掘調査はこれまで1974年実施の第1次調査から2024年実施の第35次調査まで行われている。

調査

第35次調査

第35次調査では縄文時代、弥生時代、古墳時代の遺構・遺物が出土した。縄文時代の集石遺構、土坑、ピット、弥生時代から古墳時代の住居跡5軒が検出された。縄文時代早期のスタンプ型石器と撚糸文系土器が出土した。

縄文時代

1号土坑からスタンプ型石器と撚糸文系土器が出土した。集石は遺跡検出面がⅡb層上位であること、26次調査の集石と類似することから縄文時代中期とみられる。遺跡内の礫の散在が顕著であることから「散石」と位置付けられる。被熱痕跡は赤色化が4割、痕跡なしが6割であった。剥片石器類の出土は少なく、磨石類、スタンプ形石器、石皿などの礫石器類が多い。縄文時代早期の特徴である。

弥生時代

弥生時代後期から古墳時代前期の住居跡として3軒を検出した。壺、小形壺が出土し、壺は口縁部以外はほぼ完形である。内面は被熱している。小形壺はほぼ完形である。北川谷5期古段階と推測された(古谷紀之(2013))。古墳時代前期の住居跡2棟を検出した。住居跡は方形または長方形である。竈位置は東竈(98号)と北竈(97号)であった。住居跡(97号)から出土した長胴甕、2個体、高坏が出土し、器形の特徴から7世紀第二四半期と位置付けられた(比田井(1992))。

遺構

旧石器

  • 礫群1

縄文

  • 石器集中2
  • 土坑1
  • ピット423

遺物

旧石器

  • 剥片
  • 焼礫
  • 尖頭器
  • ナイフ形石器
  • 調整剥片

縄文

  • 注口土器
    • 縄文土器
    • スタンプ状石器
  • 打製石斧
  • 磨石
  • 敲石

指定

  • なし

展示

考察

アクセス

  • 名称:上神明遺跡
  • 所在地: 東京都世田谷区成城3-4-20 他
  • 交 通: 小田急線北見駅から徒歩20分(1.4km)

参考文献

  1. 古谷紀之(2013)「横浜市都筑区北川谷遺跡群における弥生時代後期から古墳時代前期の土器編年」横浜市歴史博物館紀要 第17号,pp.1-30
  2. 特定非営利活動法人 井草文化財研究所編(2025)「上神明遺跡 15-東京都世田谷区成城四丁目20番の発掘調査記録」世田谷区教育委員会
  3. 比田井克仁(1992)「武蔵野台地における6~7世紀の土器様相」『中野区立歴史民俗資料館研究紀要』 1号,pp.35-67