綾塚古墳 ― 2025年06月14日 00:01
綾塚古墳(あやづかこふん)は、福岡県京都郡みやこ町に所在する古墳時代後期の円墳である。
概要
観音山から延びる丘陵の先端部にあり、墳丘の大きさは直径40m、高さ7mである。山側部分をU字形に削って濠を造り、その土を盛り上げて墳丘を築く。2段築成の円墳である。 巨岩を使った横穴式石室は「五条野丸山古墳」(見瀬丸山古墳)、福岡県の「宮地嶽古墳」に次いで全国第3位の規模である。幅4.5mの周濠が周囲を囲む。 後室は正方形で、奥壁に並行して長さ2.5m、幅1.6m、高さ1.2mの家形石棺が安置される。 豊前地方で家形石棺のある唯一の古墳である。被葬者は強大な権力を持っていたと考えられる。縄掛突起は、両小口に各1個、両側面に各2個あり、全部で6個ある。現存長21mの複式の横穴式石室が南に開口する。石室には畿内型の家形石棺が安置される。
調査
規模
- 形状 円墳
- 築成 2段
- 直径40m、高さ7m
構造
石室は、花崗岩の巨石を用いた複室構造の横穴式石室である。
遺構
- 室・槨 横穴式石室(両袖型玄門付き複室構造)
- 棺 家形石棺
遺物
- 出土遺物は盗掘により不明である。
築造年代
- 7世紀前半の構築
指定
- 1973年4月14日、国史跡 指定
アクセス
- 名称:綾塚古墳
- 所在地:〒824-0822 福岡県京都郡みやこ町勝山黒田2229
- 交 通: JR日豊本線行橋駅 バス 20分/新勝山下車 徒歩 20分
参考文献
- 大塚初重(1996)『古墳事典』東京堂出版
- 青木敏(2022)『古墳図鑑』日本文芸社
塚廻り古墳群 ― 2025年06月13日 00:07
'塚廻り古墳群(つかまわりこふんぐん)は群馬県太田市龍舞町にある古墳時代の古墳群である。
概要
現在は一面の水田であるが、金山・八王子丘陵と足尾山地にはさまれた渡良瀬川扇状地にある。形象埴輪は昭和62年6月に一括して国指定重要文化財となった。
調査
昭和52年、県営圃場整備事業に伴って群馬県教育委員会によって発掘調査が行われ、7基の古墳が確認された。4号墳と3号墳の一部は現状保存された。古墳から、多くの形象埴輪が出土した。 平成22年に、太田市教育委員会の調査により西暦818年(弘仁9年)と推定される洪水の跡が確認され、この下から新たに4基の古墳が確認された。この結果から、周辺にはまだ多くの古墳が存在していると考えられる。土師器、埴輪、須恵器、縄文土器が確認された。縄文土器は遺構外であった。
遺構
平成23年2月から3月に、太田市教育委員会による発掘調査が行われ、818年と推定される洪水層が確認され、これに埋まった形で、古墳4基、住居跡2軒などが確認された。 1号住居跡は竪穴式住居である。柱穴は4基確認された。土師器片は古墳時代前期とみられる。
規模
塚廻り1号墳
- 墳丘形状 前方後円(帆立貝形)
- 築成 前方部:1段、後円部:2段
- 墳長 26.1m
- 後円部径 径18.8m 高0.5m
- 前方部 幅10.8m 長7.3m 高0.4m
塚廻り3号墳
- 形状 前方後円(帆立貝形)
- 築成 前方部:1段
- 墳長 23.6m
- 後円部径 径16.7m
- 前方部 幅7.1m 長6.9m
- 外表施設
- 円筒埴輪 円筒Ⅴ式
塚廻り2号墳
- 形状 前方後円(帆立貝形)
- 墳長 24m
- 後円部径 径19m
- 前方部 幅8m 長6m
- 外表施設
- 円筒埴輪 円筒Ⅴ式
塚廻り4号墳
- 形状 前方後円(帆立貝形)
- 築成 前方部:1段、後円部:2段
- 墳長 22.5m
- 後円部 径径17.7m
- 前方部 幅8.7m 長4.8m
- 外表施設
- 円筒埴輪 円筒・朝顔形Ⅴ式
- 主体部
- 棺 ①箱式石棺②箱式石棺
出土品
塚廻り1号墳
- 金銅製耳環
- 水晶算盤玉1
- 土師器杯
- 須恵器甕
塚廻り3号墳
3号墳から合計66本の埴輪が出土した。内訳は円筒埴輪45本、形象埴輪21本である
塚廻り4号墳
4号墳から総数304本の埴輪が出土した。内訳は、円筒埴輪253本、形象埴輪35本など。
被葬者
築造時期
古墳時代前期は1号住居跡、2号住居跡、5号溝、7号溝である。11号墳は屈曲脚高坏があるため5世紀前半と想定される。12号墳はTK47段階で、5世紀後半とみられる。
展示
- 群馬県立歴史博物館
- 群馬県埋蔵文化財調査センター発掘情報館。
指定
- 昭和52年9月20日 県指定史跡
アクセス等
- 名称:塚廻り古墳群
- 所在地:〒373-0806 群馬県太田市龍舞町3089(4号墳)ほか
- 交通: 東武小泉線竜舞駅から10分
参考文献
- 肥後和男・竹石健二(1973)「日本古墳100選」秋田書店
- 大塚初重(1996)『古墳辞典』東京堂出版
- 太田市教育委員会(2012)『塚廻り古墳群』太田市文化財調査報告書
観音塚古墳 (大田区) ― 2025年06月10日 00:36
観音塚古墳 (大田区)(かんのんづかこふん)は東京都大田区にある前方後円墳である。 「西岡第36号墳」ともいう。
概要
1970年代に墳丘は道路・建物により損壊された。観音塚の由来は、出土した人物埴輪(現照善寺蔵)を江戸時代に観音として祀ったためである。古墳の規模は1949年時点で全長41m、前方部・後方部幅は13mとされているが、すでに損壊されているので、本来の規模にはできない。
調査
1970年代、輪島誠一、市原壽文による発掘調査が行われた。墳丘の東南寄りの両袖式横穴式石室が調査された。石室は付近の凝灰岩を加工した切石積であった。玄室の長さは3.5m、幅1.5mである。玄室中央の奥寄りに人骨が発見された。玄室から馬具(鉄地金銅張雲珠、轡、留金具)、太刀、刀子、鉄環、管玉、切子玉、小玉などの副葬が出土した。 埴輪としては、円筒埴輪、人物埴輪、鈴型埴輪、太刀形埴輪などが出土した。
規模
- 形状 前方後円墳
- 墳長 42.5m
- 後円部径 径22m 高4m
- 前方部 幅26.5m 高4m
- 外表施設
- 円筒埴輪 円筒Ⅴ式
遺構
- 主体部
- 室・槨 横穴式石室(両袖型)
- 棺
- 木棺
遺物
- 管玉1
- ガラス小玉73
- 水晶切子玉1
- 鉄刀 4(鍔付2)
- 鉄鏃>97
- 刀子3
- 轡2組
- 鉄地金銅張雲珠
- 留金具
- 太刀形埴輪
築造時期
- 6世紀末 宝莱山古墳の次の世代の首長と見られる。
指定
展示保管
- 大田区立郷土博物館
アクセス等
- 名称:観音塚古墳
- 所在地:東京都大田区田園調布4丁目9
- 交通:
参考文献
- 市原壽文(1953)「武蔵国田園調査四丁目観音塚古墳発掘調査報告」『白山史学』東洋大学白山史学会
おじょか古墳 ― 2025年06月10日 00:35
おじょか古墳(おじょかこふん)は、三重県志摩市にある5世紀後半の横穴式石室墳である。
概要
三重県東部の太平洋の岬の丘陵台地上に築造された古墳群の一つである。長さ約2.9m・幅1.7~2.15m・高さ約1.4mの玄室に、「ハ」の字形に開く羨道が付く。 土生田純之はおじょか古墳と九州北部の有明海沿岸地域との関係を指摘した。「筑肥型」石室の技術者の中に朝鮮半島出身者が含まれた可能性も指摘される。橋本達也は甲冑などを中心とする武装具や鏡は、古市や百舌鳥が中心になる近畿中央政権との関係を表していると指摘する。
調査
1967年(昭和42年)に阿児町教育委員会の発掘調査が実施された。
遺構
埋葬施設は横穴式石室で、西南西方向に開口する。石室全長6m、最大幅2m。 「北部九州型」「肥後型」の両方の要素を併せ持つ。
遺物
大正時代以降に耳環、珠、馬具、銅椀、、刀子、金糸、須恵器、農具、埴製枕などが発見された。方格T字鏡は直径148cmから149cm、厚さは内区で1.5mm、外区で3.5mmである。 短甲は三角板鋲留甲で中央政権との関係にもとづく配布品とみられる。埴製枕は、被葬者の頭を乗せる土製の枕であり、高さ約28.5cm・幅約32.6cm。出土埴製枕は三重県指定有形文化財である。
- 方格T字鏡
- 珠文鏡
- 半球型飾金具
- 刀 14
- 剣 3
- 槍 2
- 鉾 1
- 鏃 56
- 短甲 9
- 斧 5
- 刀子 2
- 漆塗網代状木製品
指定
- 1969年(昭和44年) 三重県指定史跡
- 1995年(平成7年)3月13日 埴製枕が三重県指定有形文化財に指定
アクセス
- 名称:おじょか古墳
- 所在地: 〒5170504 三重県志摩市 阿児町志島512-1
- 交 通:近鉄志摩線「鵜方駅」から「志島」行きバス20分「志島」下車すぐ
参考文献
- 志摩市教育委員会(2016)『おじょか古墳発掘調査報告書- 金属製品編』
- 志摩市教育委員会(2018)『おじょか古墳と五世紀の倭』
月廻古墳群 ― 2025年06月10日 00:22
月廻古墳群(つきさここふんぐん)は島根県松江市にある小型・円墳、方墳の古墳群である。
概要
丘の上にある20基以上の古墳群である。弥生時代から玉作りが始まり、古墳時代には玉作りの中心地となった。 14号墳から龍虎鏡や碧玉製管玉3、7号墳から鉄槍1や鉄剣1、刀子1が出土した。 4号墳は方墳で木棺から、副葬品として紫水晶製勾玉、碧玉製管玉、ガラス製小玉が出土した。現在は住宅団地となっている。
規模
10mから15mの17基の小型・円墳、方墳の古墳群である。
遺構
出土品
- 龍虎鏡
- 碧玉製管玉3
- 鉄槍1
- 刀子
- 紫水晶製勾玉
- 碧玉製管玉
- ガラス製小玉
築造時期
- 5世紀 古墳時代中期、
指定
アクセス等
- 名称:月廻古墳群
- 所在地:島根県松江市
- 交通:
参考文献
- 松江市史編集委員会(2012)『松江市史 史料編2』松江市
蒲田小学校付近遺跡 ― 2025年06月09日 00:18
蒲田小学校付近遺跡(かまたしょうがっこうふきんいせき)は東京都大田区にある古墳時代の遺跡である。「あやめ橋付近遺跡」ともいう。
概要
世田谷区、目黒区、大田区の3区に跨る延長約14.4kmの二級河川である呑川下流の左岸で、畿内系、東海系の古式土器が出土している。粘土と砂の層に間の標高マイナス1.5mにあった。出土した土器の6割が高坏、坏、器台で占められる。古墳時代初頭の祭祀遺跡である可能性がある。
調査
遺物
- 古式土師器
- 土師器片、
- 木材炭化物
築造時期
- 古墳時代初頭
指定
アクセス等
- 名称:蒲田小学校付近遺跡
- 所在地:東京都大田区一丁目30番
- 交通:
参考文献
- 谷川章雄(1985)「東京都大田区立蒲田小学校出土の古式土師器」『古代』早稲田大学考古学会,pp40-59
宝萊山古墳 ― 2025年06月08日 00:01
宝萊山古墳(ほうらいさんこふん)は東京都大田区にある前方後円墳である。 「蓬莱山古墳」「宝来山古墳」「将軍塚」「蓬莱塚」ともいう。
概要
1934年、土取りでくびれ部・前方部の大部分が削平されて消滅した。後円部と鞍部は破壊されたため、正確な規模は不明である。 太平洋戦争前に邸宅工事で標高42.3mの台地上に位置する。多摩川流域で最古の前方後円墳で、荏原古墳群の最初の首長墓である。前方部は最古の古墳の形状とされる三味線の撥形に開く。荏原鄕地域を治めた地域首長とみられている。
調査
1934年(昭和9年)の宅地造成工事で、埋葬施設が発見され、倣製四獣鏡、勾玉、ガラス製丸玉、鉄剣などが出土した。
規模
遺構
- 形状 前方後円墳
- 築成 前方部:2段
- 墳長 100m
- 後円部径 径52m 高推定10m
- 前方部 幅32m 長現存30(推定50)m 高7m
- 主体部
- 室・槨 粘土槨
- 棺 割竹形木棺(推定)
遺物
- 土師器580(古墳前期)
- 埴輪9(古墳後期)
- 縄文土器82
- 礫33
- 焼礫21
- 黒曜石5
- 鉄器5
- 四獣鏡(径12.7㎝) 倭製
- <硬玉>勾玉4(片面穿孔)
- <碧玉>管玉67
- ガラス丸玉173・
- 小玉390
- 紡錘車形石製品1
- <鉄剣>6
- <鉄刀>10
- <鉄槍>1
築造時期
- 4世紀前半の築造
指定
- 1996(平成8)年 東京都指定
展示保管
- 多摩川台公園古墳展示室
アクセス等
- 名称:宝萊山古墳
- 所在地:東京都大田区田園調布四丁目4番1号
- 交通:東急多摩川線多摩川駅下車徒歩約15分
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