Bing

松帆銅鐸2023年06月25日 11:03

松帆銅鐸(まつほどうたく)は兵庫県南あわじ市松帆地区で発見された弥生時代の銅鐸である。

概要

2015年(平成27年)4月、石材製造販売会社の工場の砂山で見つかった。銅鐸がまとまって7個発見された。発見された7個の銅鐸のうち1個は、全国でも11例しかない最古段階の菱環鈕式という古い形式の銅鐸であった。他の6個は次に古い外縁付鈕式という形の銅鐸である。古い時期の銅鐸が一度に大量に埋められたことは珍しいことである。銅鐸と舌が一緒に発見されたことも、珍しいことである。松帆銅鐸が見つかった南あわじ市の「松帆」は、過去にたくさんの銅鐸や銅剣が発見されている。銅鐸・舌の成分分析(ICP分析・鉛同位体比分析)の結果、朝鮮半島産の鉛が使用されていたことが判明した。

舌の遺存

CT画像により、7個の銅鐸のうち、6個の中に、吊り下げて鳴らすための青銅製の舌が入っており、合計7本の舌があることが確認できた。舌や釣り手に紐が残っていたため、吊り下げ方を復元できる。ひもが確認できたのは全国初である。殺菌作用のある銅イオンのため、ひもは腐らずに残っていた。 松帆銅鐸の舌とひもの発見により、古い時期の銅鐸は、音を聞く銅鐸であることが判明した。 何度も音を鳴らしたためか、舌の側面と銅鐸のすその内側にすり減っている部分がある。

同笵銅鐸

松帆銅鐸の中には石製の同じ鋳型で作られた同笵銅鐸があることがわかった。 松帆2・4号銅鐸と慶野中の御堂銅鐸、松帆3号銅鐸と加茂岩倉27号銅鐸(島根県)、松帆5号銅鐸と荒神谷6号銅鐸(島根県)が同笵銅鐸である。

調査

遺構

遺物

  • 菱環鈕式銅鐸
  • 外縁付鈕式銅鐸

時期

弥生時代前期末から中期前葉。松帆銅鐸に付着していた植物の放射性炭素年代測定分析の結果、約2,100~2,300年前に埋められたことが判明した。「ICP分析法」で青銅の成分が銅70~81%・錫10~16%。鉛4~18%と測定され、弥生時代中期前半より以前の銅鐸・舌であることが判明した。

指定

展示

アクセス等

  • 名称:松帆銅鐸
  • 展示館:南あわじ市滝川記念美術館玉青
  • 所在地 〒656-0314 兵庫県南あわじ市松帆西路1137-1
  • 開館時間 9:00~17:00(ただし入館は16:30まで)
  • 休館日:毎週月曜日、年末年始
  • 入館料:一般 大人 300円 、大学・高校生 200円、

参考文献

  1. 文化庁(2016)『発掘された日本列島 2016』共同通信
  2. 石野博信、和田晴吾 兵庫県立考古博物館編(2019)『淡路島松帆銅鐸と弥生社会』雄山閣
  3. 郷土史Web研究館、2023年6月25日閲覧