福井洞窟 ― 2023年06月27日 21:23
福井洞窟(ふくいどうくつ)は長崎県佐世保市にある旧石器時代から縄文時代の砂岩洞窟である。
概要
北松浦半島の中央部に所在する洞窟遺跡である。国見山系に源を発する佐々川の小支谷、福井川渓谷の左岸に開口し、間口16m、奥行6m、高さ3mの岩陰状の洞窟である。福井川の浸食により形成された。旧石器時代から縄文時代の過渡期に種類と道具に組み合わせの変化を裏付ける。
調査
1960年(昭和35年)から1964年(昭和39年)にかけて、芹沢長介らが3回にわたり発掘調査し、縄文時代初頭に至る文化層が発見された 平成25年から26年の調査で、深さ5.5mの地層を検出した。地層は15層あり8時期に渡る。表土層(0層)には、縄文時代早期の押型文土器及び石器類が出土し、第2、3I層には草創期の爪形文土器、隆線文土器及び細石刃が出土した。 炉跡は7層から9層の間から2基、12層と13層から1基ずつみつかった。12層の炉の周辺から遺物300点が出土した。炉を囲みながら、石を打ち書いて石器を作っていた。13層で見つかった石敷きは玄武岩で、角ばった石が多い。第7I層には第4層以上の細石刃より一回り大きな小形石刃ともいえる石器群があり、細石刃出現の前段階の様相として注目される。
遺構
遺物
- 石鏃 - 1層
- 押形文土器 – 1層
- 細石核 - 2層
- 細石刃 - 2層
- 爪形文土器 - 2層
- 細石核 - 3層
- 細石刃 - 3層
- 隆起線文土器 - 3層
- 細石核 - 4層
- 細石刃- 4層
- 片面調整円形石器- 4層
- 尖頭器 - 4層
- 小石核 - 7層
- 小石刃 - 7層
- サヌカイトの石核 - 9層
- 翼形剥 - 9層
- サヌカイト大型石器 - 15層
- 刃型剥片 - 15層
時期
12層の放射線炭素年代測定で、1万7500年前から1万8000年前と判明した。
指定
- 1978年8月2日 - 史跡名勝天然記念物
アクセス等
- 名称:福井洞窟
- 所在地:〒859-6302 長崎県佐世保市吉井町福井1013
- 交通:佐世保駅前から「松浦バスセンター」行に乗車、「下福井」で下車後、徒歩約3分。
展示
- 名称:福井洞窟ミュージアム
- 所在地:〒859-6326 長崎県佐世保市吉井町立石473番地
- 開館:9時~17時(最終入館16時30分)
- 休館日:月曜日(祝日の場合は次の平日)
- 交通:松浦鉄道MR「吉井駅」下車後、徒歩約10分。
参考文献
- 文化庁(2016)『発掘された日本列島 2015』共同通信
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