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押出遺跡2023年06月09日 23:44

押出遺跡(おんだしいせき)は山県県東置賜郡高畠町にある縄文時代の集落遺跡である。

概要

山形県南部の高畠町から南陽市に渡る「大谷地」といわれる泥炭湿地帯の縁辺部に位置する。 特筆する出土品は赤・黒色に彩色された漆塗り土器である。浅鉢形が出土しており、縄文時代前期までに全体に漆を塗った土器の完成品は他では出土していない。平成27年の第6次調査では壺型が出土した。口縁部に貫通孔が一周し、口縁部を除いて赤漆が塗られ、黒漆で文様が描かれる。

調査

国道13号南陽バイパス建設に伴い、調査を始め、5800年前の縄文時代前期後半の集落跡が発見された。昭和60年から昭和62年の第一次から第三次調査では約2.5mの深さから多数の杭と「転ばし根太」と言われる丸太材を基礎とした盛土遺構が見つかった。「転ばし根太」は湿地帯による沈下を防ぐために敷いたとみられる。盛土遺構の上面からは土器、石器、木製品、漆製品、繊維製品、クッキー状の炭化物が見つかっている。クッキー状炭化物は堅果類を粉状にして焼いた食料である。 約 35棟の住居跡が確認された。床を掘下げない平地式の「壁立式住居」で、柱に丸太あるいは割材を用い先端をとがらせて打込んでいる。掘立柱による大型の建物も1棟検出された。

遺構

遺物

  • 動物の肉や木の実を使ったクッキー状の炭化物、
  • 彩漆土器 - 赤と黒の2種の漆を使用
  • 漆塗りの木製大杯
  • 植物遺存体
    • クルミ197
    • トチノミ1
    • クリ2
    • ヒョウタン2
  • 石器
  • 玦状耳飾 – 長さ5cm
  • 石棒 – 長さ 3.8cm
  • 岩板
  • 異形石器
  • 木製品
  • 木胎漆器
  • 箆状木製品
  • タモ状木製品
  • 木柱
  • クッキー状炭化物
  • 樹皮
  • 動物遺存体(骨+昆虫)
  • 舟形木製品
  • 石鏃
  • 石匙
  • 石錐
  • 石槍
  • 石篦
  • 掻器
  • 削器
  • 磨製石斧
  • 磨石
  • 凹石
  • 動物遺存体(獣(骨)3
  • 杓子
  • へら状・弓状の木製品,
  • 編物の断片
  • 基部の付いた尖頭器
  • 異形石器
  • 石製装飾品
  • 漆の塊

指定

  • 1996.06.27(平成8.06.27) - 重要文化財 山形県押出遺跡出土品

アクセス等

  • 名称:押出遺跡
  • 所在地:〒992-0344 山形県東置賜郡高畠町深沼
  • 交通:JR高畠駅から車で15分

参考文献

  1. 文化庁『発掘された日本列島 2017』共同通信株式会社