'冠帽 ― 2023年11月08日 07:54
冠帽(かんぼう)は位の高い男子の頭髪を覆い束ねる帽子である。
概要
百済の冠と冠帽は身分を象徴する装身具で高い地位にあった人の墓から出土する。 金銅冠帽の形態は烏帽子状で、帽子の後ろ部分に管状の装飾をつけたもの、あるいは前部または後部に華麗な装飾を立てたものがある。金製冠飾と銀製冠飾は冠帽に装着した装身具であり、百済社会の位階が反映されている。金銅製では透かし彫りや薄い金板を連ねて垂らす飾り歩揺がつくものがある。 日本でも江田船山古墳などで出土している。 後藤守一は埴輪の冠帽を分類して、4タイプがあるとする。
- (1)頭を巻く髪、
- (2)天冠
- (3)笠
- (4)帽系統
出土
- 金銅製冠帽 - 江田船山古墳、熊本県和水町、古墳時代・5~6世紀、東京国立博物館
- 金銅透彫冠帽 - 伝韓国慶尚南道昌寧郡出土、三国時代・6世紀、東京国立博物館
- 透彫冠帽 - 伝慶尚南道昌寧出土、三国時代6世紀、東京国立博物館
- 冠帽 - 伝大韓民国大邱市、朝鮮・三国時代 6世紀、九州国立博物館
参考文献
- 狩野久(1970)『部民制』東京大学出版会
- 石母田正(1971)『日本の古代国家』岩波書店
木槨墓 ― 2023年11月08日 23:48
木槨墓(もっかくぼ)は板で囲った四角い部屋に棺を収めた墓である。
概要
中国北部、現在の山東省付近で生まれた埋葬方法で、前漢時代に楽浪郡に伝えられた。 中国の周・漢代の墳墓、シベリア,モンゴル,アルタイ地方,朝鮮半島でも多く発見されている。日本へは北部九州から瀬戸内海を通るルートで大和へやってきたと考えられてきた。 日本では10例前後しか見つかっていない。
出土
- 王陵級大型木槨墓 - 大成洞古墳群、韓国金海市、4世紀前半
- 木炭木槨墓 - 京都府安朱北屋敷町、平安時代
- 木槨木棺墓 - 鎌田原遺跡、長野県小諸市、古墳時代前期から後期
- 木槨墓 - 柚ノ木遺跡、福岡県筑紫野市、弥生時代
参考文献
- 金河(2021)「慶州チョクセム44号積石木槨墓調査概要」就実大学史学論集35, pp. 203-216
- 高久 健二(2018)「新羅積石木槨墓の埋葬プロセス : 皇南大塚を中心に (第2部 王権の比較)」国立歴史民俗博物館研究報告 211, p. 167-209
最近のコメント