西求女塚古墳 ― 2024年05月30日 08:05
西求女塚古墳(にしもとめづかこふん)は兵庫県神戸市にある古墳時代のの前方後方墳である。
概要
兵庫県の南東、六甲山系と大阪湾に挟まれた標高6mの扇状地に立地している。当初この古墳は全長約90mの前方後円墳と考えられていた。 現在の古墳の形も前方後円形であるが、発掘調査の第7次調査で後方部とくびれ部を検出し、前方後方形であることが確認された。3世紀に作られたこの古墳は古代の海岸線から200m内陸に入ったところにある。前方後方墳はヤマト政権の支配下にはなかった有力豪族の古墳が多い。古墳の土地は私有地であったが、神戸市が買いあげ、遺跡公園「求女塚西公園」となった。
調査
平成4年度からの発掘調査で三角縁神獣鏡をはじめ、多くの銅鏡が出土し、一躍注目された。墳長100級の古墳時代前期では最大クラスの古墳である。墳丘に葺石がある。 後方部中央に作られた埋葬施設は慶長大地震(1596年)により、原型を保てないほど損傷した。それでも竪穴式石室の内法は長さ5m、幅約85cmであることが判明した。墓穴の底に厚く敷いた礫を置き、粘土で棺床を作り、周囲に板石を積み上げる。石室内部は板石で仕切って主室と副室とに分ける特殊な構造であることが判明した。石室に使われた石材は、兵庫県内、四国、和歌山から調達している。銅鏡は三角縁神獣鏡7面、半肉獣帯鏡2面、画文帯環状乳神獣鏡2面、神人龍虎画像鏡1面の12面である。三角縁神獣鏡のうち2面は布に包まれていた。鼓型器台は祭祀に使われ、山陰地方に特有の形式である。
規模
- 形状 前方後方墳
- 築成 後円部:3段
- 墳長 110m以上
- 後方部
- 前方部 - 幅110m以上
遺構
- 室・槨 竪穴式石槨
外表施設
- 葺石 あり
遺物
- 中国鏡 (撹乱土中から出土)
- 2号鏡 三角縁吾作四神四獣鏡
- 3号鏡 三角縁吾作三神五獣鏡
- 5号鏡 三角縁陳是作五神四獣鏡
- 6号鏡 画文帯環状乳神獣鏡
- 7号鏡 神人龍虎画象鏡
- 土師器 - 山陰系の小形丸底壺・
- 鼓型器台
- 二重口縁壺(布留式併行、攪乱土中から出土、埋葬施設に伴う可能性)
- 碧玉製紡錘草形石製
- 小型丸底壺
- 鉄製品 230点
築造時期
3世紀中頃の築造と考えられている。
考察
3世紀中頃の古墳築造で、中国鏡が多数出土し、かつ三角縁神獣鏡が複数面出土したことから、規模と位置の点はあるが、邪馬台国時代の古墳といえる。卑弥呼が鏡をあちこちに配ったとすれば、一部は魏から貰った鏡かもしれないと想像をかき立てる。
指定
- 2005年(平成17年)3月2日 国史跡に指定
- 2005年(平成17年)6月9日 出土品は国の重要文化財指定
展示
- 神戸市埋蔵文化財センター
アクセス等
- 名称:西求女塚古墳
- 所在地:兵庫県神戸市灘区都通3丁目1-17
- 交通:阪神電鉄 西灘駅 徒歩2分
参考文献
- 江上波夫(1993)『日本古代史辞典』大和書房
- 大塚初重(1982)『古墳辞典』東京堂
- 神戸市教育委員会(1995)『西求女塚古墳』第5次・第7次発掘調査概報
- 文化庁(1995)『発掘された日本列島』朝日新聞社
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