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石製円板2024年05月06日 00:31

石製円板(せきせいえんばん)は滑石製の薄い円板である、

概要

石製模造品の一種である。円板に孔が中央またが周辺に1つまたは2つあけられているものがあるが、孔のないものもある。双孔が最も多い。有孔円板は有孔土製円板ないしは有孔石製円板の略称である。高橋健児(1919)は「石製円板」の名を用いてそれが定着した。

用途

祭祀遺構(土器集積遺構)から出土することが多く、紐通し穴があることから木の枝などに吊るされて使用されたと見られる。葬送儀礼・豊穣祈願・家内の祈りなど、さまざまな祭祀において道具として使われた。祭祀に使う鏡の模造品と考えられているが、紡錘車や璧(へき)の模造品とみる説もある。

大場磐雄の分類

大場磐雄は石製円板を大中小の3段階に分類した。

  1. 大 - 27.71mm × 28.99mm
  2. 中 - 19.07mm ×20.65mm
  3. 小 - 15.10mm ×15.70mm

出土例

  • 石製有孔円板 - 葉県成田市 高倉所在古墳出土、古墳時代・5~6世紀古墳時代・5~6世紀、東京国立博物館
  • 石製円盤- 佐味田宝塚古墳、 奈良県河合町、古墳時代・4~5世紀 東京国立博物館

参考文献

  1. 白石太一郎(1985)「神まつりと古墳の祭祀」国立歴史民俗博物館研究報告通号 7、p79~114
  2. 大場磐雄(1981)「石製模造品」神道考古学講座. 第3巻、雄山閣出版
  3. 笹尾衛(2010)「古墳時代における祭具の再検討」國學院大學伝統文化リサーチセンター研究紀要 2,pp.91-112
  4. 種石悠(2015)「北海道湧別町川西遺跡出士オホーツク文化の有孔円盤について」北海道立北方民族博物館研究紀要 24 (0),pp. 67-78
  5. 高橋健児(1919)「古墳発見石製模造器具の研究」帝室博物館学報. 第1冊

器台2024年05月06日 09:18

器台(きだい)は土器などを載せる台である。

概要

器台形土器ともいう。壺、甕、皿などの容器を上に載せるための台である。 弥生時代後期のから発達し、古墳時代にも見られる。 壺に比べると出土数はかなり少ない。

形状

上部は広がり、鼓の様な形をなし、中部はくびれて細くなり、底部は裾開きとなり安定する。 土師器では小型のものも見られる。

形の変化

形状は鼓形器台、筒形器台、大型器台、特殊器台などに変化した。特殊器台は埴輪の原型とされる。特殊な大型の形状をした櫛目文、並列三角文が施される特殊器台がある。

出土例

  • 大型器台 - 土壇原北遺跡、愛媛県松山市、弥生時代/2世紀
  • 須恵器 器台 - 具同中山遺跡群、高知県四万十市具同、古墳時代
  • 筒形器台 - 大園遺跡、大阪府高石市、和泉市、泉大津市、五世紀前半
  • 器台 - 南摺ヶ浜遺跡、鹿児島県指宿市十二町、古墳時代
  • 須恵器器台 - 具同中山遺跡群、高知県四万十市具同、古墳時代

関連資料

  • 特殊器台

参考文献

  1. 熊野正也(1980)「特殊な器台形土器について」『史館』(12)、史館同人
  2. 栃木英道(1983)「器台形土器の形態について」『北陸の考古学』

特殊器台2024年05月06日 10:05

特殊器台、岡山県中山遺跡、国立歴史民族博物館

特殊器台(とくしゅきだい)は壺などを載せる器台型土器が特殊化した土器である。

概要

特殊壺型土器と対になる。特殊器台埴輪ともいう。 弥生時代後期に吉備地方で墳墓の葬送のマツリに使用された土器である。装飾や丹塗りが施された、墳墓に立て並べるのが一般的である。 脚部、文様帯 4 段間帯 5 段からなる筒部、頸部、受部からなる。円筒埴輪の起源と考えられている。

形状

高さ80cから1mほどの円筒型大型の筒型土器である。裾部は広がり、口縁部も張り出る。突帯を配し、表面に三角形や円形の透孔がある。吉備地方で発達した弥生時代後期の特殊器台は形式、文様に特色があり、吉備型とも言われる。文様帯に組帯文と呼ばれる水引のような渦文が特徴である。弥生時代V期後半(3世紀前半)から大型化した。特殊器台の胎土は、角閃石という鉱物を含む特別な粘土を使用していた。

出現時期

器台は集落で農耕祭祀に使用される土器として弥生中期中葉ごろ出現したと考えられている。弥生時代後期になると墳墓専用の祭器として、非常に大型化た、複雑な文様となり、祭祀で飾られる器台となった。特殊器台古墳時代初期に墳丘墓や初現期の古墳などで見られる。組帯文をもたない楯築墳丘墓例は最初の特殊器台の形態とされ、縦方向の組帯文がある長坂1号墳の出土例は特殊器台としては小型で変則的な構成となるが、楯築弥生墳丘墓の頃からさかのぼることはない。

分布範囲

出土遺跡は大和、河内、摂津、出雲、讃岐に拡がるが、岡山県と広島県の東部に集中する。 特殊器台から発展した埴輪は奈良県を含む近畿中心部の古墳で用いられた。

特殊器台の形式変化

特殊器台の形式は以下の順で変遷したとされる。

  1. 立坂型
  2. 向木見型
  3. 宮山型
  4. 都月型 変化の特長は次の通りである。
  5. 頚部、脚部の縮小化
  6. 「宮山型」以降における連続S字状文帯の減少
  7. 「宮山型」以降における凹線文帯の消滅
  8. 連続S字状文の連続性喪失と文様の分解 特殊器台の特長の変化は、実用品であった特殊器台、特殊壺が祭祀のための儀器に変化する過程を示すと考えられている。

出土例

  • 特殊器台 - 長坂古墳群、岡山市北区下足守、弥生時代後期末
    • 筒状の部分に何重にも突帯を巡らせ、その間を鋸歯紋、弧帯紋で埋め。
  • 特殊器台 - 宮山遺跡、岡山県岡山市後楽園、弥生時代
    • 土製素焼。基部の下半を除いて、全体的に赤彩がある。円筒状で縦長の胴部に、外反、屈曲する口縁部と基部を取り付ける。
  • 特殊器台 - 西江遺跡、岡山県新見市哲西町、弥生時代後期末

関連事項

  • 器台

参考文献

  1. 大塚初重(1996)『古墳事典』東京堂出版
  2. 近藤義郎(1983)『前方後円墳の時代』岩波書店
  3. 近藤義郎(1989)「特殊器台と弥生墳丘墓」『芸備地方史研究』169/170、芸備地方史研究会
  4. 滋賀県安土城考古博物館編(2011)『共に一女子を立て』滋賀県安土城考古博物館
  5. 宇垣匡輔(1984)「特殊器台形埴輪に関する若干の考察」、『考古学研究』31-3(123),考古学研究会,pp.53-58
  6. 安川満(2019)「特殊器台のひろがり」令和元年度 岡山市埋蔵文化財センター講座第 2 回資料