北大竹遺跡 ― 2024年06月19日 00:06
北大竹遺跡(きたおおたけいせき)は埼玉県行田市藤原町・若小玉に所在する古代の遺跡である。
概要
北大竹遺跡は埼玉古墳群の北方約2km、利根川と荒川の沖積平野に位置する。 北大竹遺跡は面積約375ヘクタールで、古墳や集落からなる。子持ち勾玉が45点も見つかったことから話題となった。一つの遺跡の出土としては全国最多である。 北大竹遺跡は古墳時代前期頃から本格的に集落が形成された。
調査
行田富士見工業団地拡張地区産業団地整備事業に伴い、令和元年10月から発掘調査が開始された。古墳時代後期から飛鳥時代の時期となる3個所の祭祀遺構が検出された。 古墳時代後期から平安時代の集落を確認した。3個所の祭祀遺構は時期や土器の種類に差異はあるものの、いずれも子持勾玉と須恵器の甕が一緒に出土していることから、子持勾玉と須恵器の甕が祭祀で使われたことが分かる。 第3次調査において、隠滅されていた前方後円墳である三方塚古墳が検出された そのほか石製模造品、臼玉、残存率の高い甕を始めとした須恵器や大型高坏などの大量の土師器類、単鳳環頭達太刀柄頭、海獣葡萄鏡、大量の鉄鏃や鉄製模造品、瑪瑙や琥珀、碧玉製の玉類などの遺物が出土しした。
祭祀遺構
6世紀中頃から後半の第2号遺物集中では5mほどの範囲から子持勾玉19、勾玉(琥珀製、瑪瑙製、碧玉製)や管玉、ガラス玉、石製模造品(臼玉、有孔円板、剣形、勾玉形)、単鳳環頭太刀の柄頭(祭祀遺構からの出土は珍しい)、杏葉(馬具)、鉄刀、鉄戈、鉄鏃405点、高坏、甕、蓋付須恵器、𤭯、台付長頸壺など大量の遺物が出土した。
自然科学分析
蛍光X線分析、放射性炭素年代測定、テフラ分析を行った。
- (1)蛍光X線分析では具体的な物質名を特定できなかった。
- (2)放射性炭素年代測定は木材(ケヤキ)1点、獣骨1点を調べた。B区第27号竪穴住居跡出土の木材は1175±15BP、A区第12号土壙出土の獣骨は1470±15BPであった。暦年台は木材はcalAD 820 - cal AD 895で確率70.3%である。獣骨はcalAD 570 - cal AD 641で確率95.4%である。木材は、平安時代の前半頃の年代を示しており、獣骨は古墳時代の終末期の年代に相当する。発掘調査により遺構や遺物から確認されている年代であった。
- (3)火山灰分析は天仁元年(1108年)に噴火した浅間山由来のテフラや古墳時代に噴火した榛名山のテフラが堆積している土層の層位から採取したところ、古墳時代の6世紀に榛名火山から噴出した榛名渋川テフラ(Hr- FA:早田1989、町田・新井2003)または榛名伊香保テフラ(Hr - FP:早田1989;町田・新井2003)に由来すると判断された。榛名伊香保テフラとすれば、土層の基底部から採取した炭化植物片の炭素14年代測定を行い,いずれも1480±30 yrBPの炭素14年代を得た(下司・大石(2011)).この年代の暦年較正年代は555~615 AD(68.2% probability)である.したがって,本層の形成年代は6世紀後半から7世紀初頭であると考えられる.
遺構
- 井戸1
- 住居跡
- 井戸跡
- 溝跡
- 土壙
- 遺物集中
- 掘立柱建物跡
- 柱穴列
- 土壙
- 鍛冶関連遺構
- 旧河川跡
- 流路跡
遺物
- 須恵器 - 蓋、
- 土師器
- 石製品
- 子持勾玉
- 石製模造品
- 臼玉
- 玉類
- 金属製品
- 瓦
指定
展示
アクセス
- 名 称:北大竹遺跡
- 所在地:〒361-0016 埼玉県行田市藤原町1丁目27-2
- 交 通: JR吹上駅から工業団地行 19分 「藤原町」下車
参考文献
- 公益財団法人埼玉県埋蔵文化財調査事業団(2022)「北大竹遺跡」埼玉県埋蔵文化財調査事業団報告書 第477 集
- 文化庁(2023)『発掘された日本列島2023』共同通信社
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