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青斑石鼈合子2023年06月13日 21:28

青斑石鼈合子(せいはんせきのべつごうす、Turtle Shaped Covered Cintainer in Mottled Blue Stone)は正倉院に収蔵されている蓋付きの合子である。

概要

スッポンはリアルであり、背に金銀で北斗七星を描いている。動物彫刻として優れている。青斑石(蛇紋岩)で製作されており、目に深紅色の琥珀を嵌める。甲羅の北斗七星文は銀象嵌である。星は丸く、輪郭線を堀り、内側に銀泥を塗り、星をつなぐ線は日本の浅い筋を刻み、その間に金粉または金泥を塗る。

展示歴

  1. 1947年 - 第2回
  2. 1963年 - 第16回
  3. 1970年 - 第23回
  4. 1981年 - 特別展『正倉院宝物』(東京国立博物館)
  5. 1989年 - 第41回
  6. 2000年 - 第52回
  7. 2010年 - 第62回

管理

  • 名称 :青斑石鼈合子
  • 倉番 :中倉 50
  • 用途 :その他
  • 技法 :石製品
  • 寸法 :長15.0 高3.5
  • 材質:蛇紋岩 目は琥珀 甲羅の北斗七星文は銀象嵌・金泥

関連宝物

  • 銀平脱合子
  • 金銅花形合子
  • 檜薬合子
  • 金銅大合子
  • 赤銅合子
  • 黄銅合子
  • 佐波理合子
  • 刻彫梧桐金銀絵花形合子

参考文献

  1. 奈良国立博物館(2008)『正倉院展六十回のあゆみ』奈良国立博物館

漆金薄絵盤2023年06月13日 21:30

''漆金薄絵盤'(うるしきんぱくえのばん,Lotus-flower-shaped Pedestal for Incense Burner,Wood with Painting,Known as “koin-za”)は正倉院に伝わる香を焚くための炉盤の台座である。通称「香印坐」と呼ばれる。

概要

 同型・同大の甲号と乙号とがある。両者で1対として仏前に捧げられたと考えられている。 岩座の上に各段八枚の蓮弁を四段に重ねる。中心に半球状の蓮肉を据える。岩座・蓮弁・蓮肉は木製である。岩座の裏に「香印坐」の墨書がある。台はヒノキ材製であるが、岩を模した形状と彩色を施す。

構成

木製の岩座から銅製の柄をのばし、その先端に木製の蓮弁計32枚をつける。蓮弁は金箔の覆輪をまわし、内区は赤、青または金箔の地に宝相華が描かれ、加えて鳳凰、獅子、水禽、オシドリ、迦陵頻伽(人面鳥)、花喰鳥、含綬鳥、草花などが描かれる。 蓮弁が魚麟状になるように互い違いに配置する。赤、青、緑、紫、黄色の組み合わせが華麗であり、色彩が対比されている。迦稜頻迦は仏教で雪山または極楽に住むという想像上の鳥である。

材料

顔料として鉛白・朱・鉛・緑青・群青等の鉱物系の顔料のほか、藤黄・臙脂・藍等の有機物系の顔料が使用されている。蓮弁はクスノキ材製で漆を塗る。漆金薄絵盤のクスノキは導管が大きめの散孔材で周囲に状柔細胞らしいものが認められた(参考文献1)。

由来

741年(天平13年)、東大寺阿弥陀浄土院に「香印坐花」が安置された記録がある。第10代遣唐使による招来品の可能性が高い。

出展歴

漆金薄絵盤 甲

  1. 1990年 – 第42回
  2. 2013年 – 第65回

漆金薄絵盤 乙

  1. 1993年 – 第45回
  2. 2021年 - 第73回

管理

名称 : 漆金薄絵盤 甲

  • 倉番 : 南倉 37
  • 用途 : 仏具
  • 技法 : 木竹工
  • 寸法 : 径56.0cm,総高17.0cm
  • 材質 :蓮弁は木製 黒漆塗 彩色(白下地・赤・橙・白・淡青・青・緑・淡緑・黄・紫・淡紫・金箔押・墨描) 柄は銅製で緑塗 鉄釘 蓮肉は木製 黒漆塗 金箔押 彩色(赤) 岩座は木製 彩色(緑・褐色)

名称 :漆金薄絵盤 乙

  • 倉番 : 南倉 37
  • 用途 : 仏具
  • 技法 : 木竹工
  • 寸法 : 径55.6cm,総高18.5cm
  • 材質 :蓮弁は木製 黒漆塗 彩色(白下地・赤・橙・白・淡青・青・緑・淡緑・黄・紫・淡紫・金箔押・墨描) 柄は銅製で緑塗 鉄釘 蓮肉は木製 黒漆塗 金箔押 彩色(赤) 岩座は木製 彩色(緑・褐色)

参考文献

  1. 貴島主夫・嶋倉巳三郎・林昭三(1981年)「正倉院宝物の木材収集調査報告」正倉院紀要3号
  2. 奈良国立博物館(2021)「第73回正倉院展」仏教美術協会

黒柿蘇芳染金絵長花形几2023年06月13日 21:31

黒柿蘇芳染金絵長花形几(くろがきすおうぞめきんえのちょうはながたき,)は正倉院に収蔵されている仏に捧げる供物を置く机である。

概要

机の天板は、黒柿の素材を蘇芳で染め、紫檀に似せる。長花形に作った黒い筋目のある黒柿の板で四つ葉に似た形に作る。側面には金泥で花枝や蝶鳥を描く。巻葉形に彫られた脚が四隅に付く。華足に金銀泥で葉脈を描く。裏に「戒壇」の墨書があることから、東大寺戒壇院に納められたものであることがわかる。

展示歴

  1. 1958年 – 第12回
  2. 1969年 - 第22回
  3. 1982年 – 第34回
  4. 1994年 – 第46回
  5. 2010年 – 第62回

管理

  • 名称 :黒柿蘇芳染金絵長花形几 第4号
  • 倉番 :中倉 177
  • 用途 : 仏具
  • 技法 : 木竹工
  • 寸法 :縦33.0cm 横51.5cm 高9.8cm
  • 材質:黒柿 蘇芳染 金銀泥絵

参考文献

  1. 奈良国立博物館(2021)『第73回正倉院展』仏教美術協会

漆彩絵花形皿2023年06月13日 21:32

漆彩絵花形皿(うるしさいのはながたさら,Lacquered Flower-Shaped Platter with Painted Decoration)は正倉院に収蔵されている仏前に供物を捧げる足つきの皿である。

概要

桂の一枚板を用い、中央に四弁花形、四方に花形を配して浅い皿型に彫っている。 757年(天平勝宝八歳)の聖武天皇の一周忌用に製作されたとの説がある。 皿は全面に黒漆を塗り、内面に赤色を塗り、外側面に花葉文を描き、全面に油を塗る。 同じ皿は正倉院に計29枚ある。

構成

脚は容易にとり外すことが出来るため、重ねて収納することができる。

類例

唐招提寺に「黒漆彩色華盤」(重要文化財)がある。

展示歴

  1. 1953年 - 第7回
  2. 1964年 - 第17回
  3. 1985年 - 第37回
  4. 2004年 – 第56回
  5. 2013年 – 第65回

管理

  • 名称 :漆彩絵花形皿
  • 倉番 :南倉 40
  • 用途 :仏具
  • 技法 :
  • 寸法 :縦39.8cm,横37.9cm,高7.1cm
  • 材質: 桂

参考文献

  1. 奈良国立博物館(2008)「正倉院展60回のあゆみ」奈良国立博物館

七条刺納樹皮色袈裟2023年06月13日 21:33

‘'七条刺納樹皮色袈裟''(しちじょうしのうじゅひしょくのけさ,Seven-Panel-Patchwork Quilted Priest’s Surplice in Mottled Colors)は正倉院に収蔵されている聖武天皇が出家後に使用したとされている袈裟である。

概要

国家珍宝帳では先頭に書かれるように、聖武天皇がもっとも重視した品である。重なり合った平絹の色が樹木の肌の様に見えるため、「樹皮色」とついた。袈裟は3領ずつ、袷の袈裟幞に包んで、漆皮箱に収められ、漆皮箱は袈裟箱袋に収める。

構成

緑、紫、赤、青、黄、白等の平絹を不規則な形に切り重ね刺縫いし、二長一短に仕立てた細長い裂を7枚横に並べてつなぎ合わせたもの。

東大寺献物帳

東大寺献物帳には九領の袈裟が記録されている。 御袈裟合玖領 九條刺納樹皮色袈裟一領 -;碧綾裏皂絹縁 七條褐色紬袈裟一領 - 金剛智三蔵袈裟 七條織成樹皮色袈裟一領 - 紺綾裏皂綾縁 七條刺納樹皮色袈裟六領(二領碧綾裏皂絹縁 二領紺絹裏皂絹縁 一領紺綾裏皂綾縁 一領紺絁裏皂綾縁) (『大日本古文書』4)

展示歴

  • 七条刺納樹皮色袈裟 第9号
  1. 1962年 - 第15回
  2. 2006年 - 第58回
  3. 2019年 - 第71回

管理

  • 名称 :七条刺納樹皮色袈裟 第9号
  • 倉番 :北倉 1
  • 用途 :服飾品
  • 技法 :染織
  • 寸法 :幅247cm,縦145cm
  • 材質:赤・青・黄・緑・茶等の平絹 刺縫 裏は紺絹 縁は皀綾

参考文献

  1. 奈良国立博物館(2008)「正倉院展60回のあゆみ」奈良国立博物館

七条織成樹皮色袈裟2023年06月13日 21:34

‘'七条織成樹皮色袈裟''(しちじょうしょくせいじゅひしょくのけさ,Kesa,Priest’s Lobe)は正倉院に収蔵されている聖武天皇が使用したと想定される袈裟である。

概要

樹皮の柄なので、見かけ上はかなり地味な図柄と色となっている。技法的にも素朴である。出家した僧侶は財産を持たないので、衣服はボロ布に見えるようにしている可能性がある。しかし、布を拡大すると模様の上に撚金糸を格子のように織り込んでいて、気づかないところで豪華になっている。文様の部分ごとに横糸の色を変え、2~3種類の色糸をより合わせた杢糸を使用する。 「七條」は袈裟を7枚の長方形の布で横に波縫いでつなぐ袈裟の形式である。「刺納」は刺し子である。我が国で唯一の織成遺品とされる。織成は地緯糸と文様を表す色緯糸の二種の緯糸を用いて交互に織る技法で、綴織の一種である。綴織は文様を表す緯糸が織幅いっぱいに貫通せず、要所の部分だけを織り返す。複雑な機台を必要としないので、古代エジプトの綴織、南米ペルーの綴織、ヨーロッパのゴブラン織、中近東のキリムなどにみられる。

構成

表は七条の織成を並べ、各条の間は紺平絹で界を為す。裏は唐花文様の紺綾を五枚継ぎしている。樹皮色とは布の裂を組み合わせて、樹皮にみえる風合いからきている。

東大寺献物帳

東大寺献物帳には九領の袈裟が記録されている。 御袈裟合玖領 九條刺納樹皮色袈裟一領[碧綾裏皂絹縁] 七條褐色紬袈裟一領[金剛智三蔵袈裟] 七條織成樹皮色袈裟一領[紺綾裏皂綾縁] 七條刺納樹皮色袈裟六領(二領碧綾裏皂絹縁 二領紺絹裏皂絹縁 一領紺綾裏皂綾縁 一領紺絁裏皂綾縁) (『大日本古文書』4)

模造報告

復元模造が平成18年から3ヵ年で行われた。その報告は参考文献1,2,3に書かれる。 龍村美術織物が担当した。

展示歴

七条織成樹皮色袈裟  第3号

  1. 1956年 - 第10回
  2. 1985年 - 第37回
  3. 1996年 - 第48回
  4. 2011年 - 第63回
  5. 2019年 – 第71回

管理

名称 :緑牙撥鏤尺 甲

  • 倉番 :北倉 1
  • 用途 :服飾品
  • 技法 :染織
  • 寸法 :幅245cm,縦139cm
  • 材質:織成(綴錦の変種) 裏は紺綾 縁は皀綾 畔は紺絹

参考文献

  1. 尾形充彦、田中陽子(2010)「模造」『正倉院紀要』年次報告32号,pp.170-172
  2. 尾形充彦、田中陽子(2010)「模造」『正倉院紀要』年次報告33号,pp.115-117
  3. 白井進(2012)「七条織成樹皮色袈裟の復元模造」『正倉院紀要』第34号pp.1-28
  4. 奈良国立博物館(2008)「正倉院展60回のあゆみ」奈良国立博物館

七条褐色紬袈裟2023年06月13日 21:36

‘'七条褐色紬袈裟''(しちじょうかっしょくのつむぎのけさ,Priest's robe in seven strips of brown pongee)は正倉院に収蔵されている聖武天皇が使用した袈裟である。

概要

国家珍宝帳所載の品である。袈裟は『国家珍宝帳』の筆頭に掲げられており、仏教に深く帰依した聖武天皇の信仰を伝える宝物である。 中国密教の祖である金剛智三蔵(741年没)が使用した袈裟である。名称は「紬」であるが、黄褐色に染めた羅製である。

構成

展示歴

  1. 1983年 – 第35回
  2. 1997年 - 第49回
  3. 2015年 - 第67回

管理

  • 名称 : 七条褐色紬袈裟 第2号
  • 倉番 :北倉 1
  • 用途 :服飾品
  • 技法 :染織
  • 寸法 :幅297cm, 縦144cm
  • 材質:褐色羅(表・裏) 畔・縁は共裂

参考文献

  1. 奈良国立博物館(2008)「正倉院展60回のあゆみ」奈良国立博物館