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2023年09月18日 21:20

銅釧/野毛大塚古墳/世田谷区郷土資料館

(くしろ)は古代の腕輪である。

概要

貝・石・青銅・鉄などで作り、装飾品として手首や肘にはめたアクセサリーである。今日のブレスレットであるが、使用には様々な規制があった。社会的身分の表現手段のひとつである。 銅製は「銅釧」、貝製は「貝釧」という。 鈴釧は鈴がついた釧である。熊野堂横穴墓の鈴釧は保存状態が良く、今でも美しい澄んだ音色を奏でる。

解釈

これらの装飾品は権威の象徴と考えられている。 複数の釧を腕に付けると、腕を動かすと釧どうしが当たって音が出て、祭祀での意味が出てくるのかもしれない。貝輪を着ける人物は幼い頃に選出され、シャーマンなど生産活動に参加しないい身分と考えられている。材質や形、色、音によって装飾だけでなく社会的な機能を表す意味があったようである。 時代は下がるが、木造不動明王立像(滋賀県甲賀市甲賀町)は両腕に臂釧・腕釧を付け、臂釧には布を巻きつけている。河合寺の厨子に安置されてと伝わる。

万葉集

  • 振田向宿禰が筑紫国に退かる時の歌一首
  • 1766 我妹子は釧にあらなむ左手の吾が奥の手に巻きて去なましを
    • 大意 あなたが腕輪であったら、大切な左の腕に巻いていけるのに。
  • 1792 玉たすき 懸けぬ時なく 口やまず 吾あが恋ふる子を    玉釧 手に巻き持ちて 真澄鏡 直目に見ねば
  • 2865 玉釧まき寝る妹もあらばこそ 夜の長けくも嬉しくあるべき
    • 大意 玉釧の貴方の手枕で寝るなら夜が長いのもうれしいのであろうが

出土例

  • 有鉤銅釧 福井県鯖江市長泉寺町、弥生時代後期の墳墓遺跡
  • 石釧 東大寺山古墳、古墳時代・4世紀
  • 鉄釧 塩崎遺跡群出土、弥生時代後期。
    • 腕に装着されたままの状態で出土した。釧は細い鉄線を螺旋状に巻き上げた形をしている。長野市立博物館。

参考文献

  1. 鈴釧, 熊野堂横穴墓(有形文化財)