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長柄桜山古墳群2024年02月22日 15:28

長柄桜山古墳群(ながえさくらやまこふんぐん)は神奈川県逗子市と葉山市の境界にある前方後円墳2基で構成される古墳群である。

概要

葉山町在住の考古学愛好家の東家洋之助が現地で埴輪を発見したことにより知られるようになった。携帯電話の無線基地局建設の計画に伴い、小規模な森林の伐採及び整地された際に、古墳の存在を示す埴輪を発見した。葉山町教育委員会で現況の略測を行い、現存する古墳としては県内最大級の約80 m級の古墳であることを確認した。約500 m西に離れた丘陵頂上地点に県内の考古学研究者田村良照から前方後円墳の可能性が高い地形の指摘があった。平成11年に7月に試掘調査を実施した( 第1 次調査)ところ、現況地形の観察から古墳のくびれ部と前方部の側面と推定される部分から葺石や埴輪片が確認され、古墳であることが確認された。 長柄桜山古墳群は三浦半島の付け根付近の相模湾に面し、葉山市と逗子市の境の標高50mから120mの葉山隆起帯の丘陵地に立地する。出土した棺が未盗掘であるが、保存のため中を調べていないので、副葬品は分からない。

墳丘形状

第一号墳の墳丘は後円部3段、前方部2段である。後円部と前方部の比高差が大きい前期古墳の特徴がある。後円部に長さ約7m、幅約1.6mの落ち込みがあり、祭祀用の土器が検出された。埴輪は後円部を中心とする局所的な配列であったと考えられる第一号古墳では後円部の西半は正円形を描くが、東半はいびつな形である。左右非対称の後円部の形状は築造当初からのものであり、地すべりの影響は限定されていると考察されている。丘陵の狭い尾根筋の限られた用地内に墳丘西側を整美に造り出すため地割に制約を受けた結果とされる。後円部墳頂部は西から東に向って約60cm下がる。古墳築造から後に地すべりが起こった結果と見られている。前方部の先端は鉢形となるのは、中世後期以降に墳丘の一部が削平を受けたためで、本来は幅広の台形状であったと考えられている。 第2号墳は、後円部と前方部の比高差が少なく、前方部は幅広である。葺石は川原石や丘陵岩盤の泥岩を用いる。

調査

第一次調査は2009年(平成11年)に神奈川県教育委員会が実施した第2号墳の試掘調査である。 第二次調査として2000年(平成12年)4月から5月にかけて、かながわ考古学財団が第1号墳、第2号墳の範囲確認調査を行った。 第三次調査は2006年(平成18年)8月21日から10月27日までの延べ39日間実施され、多量の埴輪が出土した。 第四次調査は、2007年(平成19年)12月3日から2008年(平成20年)2月22日までの延べ48日間であった。 第五次調査は2008年(平成20年)9月29日から12月19日までの延べ52日間であった。 第六次調査は2009年(平成21年)8月6日から12月17日まで延べ56日間実施された。

規模

第1号墳

  • 形状 前方後円墳
  • 全長 91.3m
  • 後円部径 52.4m
  • 前方部幅 33mm
  • 高さ 2.5m

第2号墳

  • 形状 前方後円墳
  • 全長   88m
  • 後円部径 54m
  • 前方部長 34m
  • 前方部幅 45m

遺構

第一号墳では後円部墳頂部中央のやや東よりで幅約1.6m、長さ約7mの陥没坑が確認された。陥没坑の一部を掘り下げると墳丘面から約1.5m下に粘土槨が1基構築されていた。。後世の掘削痕跡は認められなかったため、主体部は未盗掘と想定されている。 第2号墳埋葬施設の位置や構造、規模等は明らかでない。

遺物

  • 円筒埴輪 - 三浦半島内で製作された可能性が高い
  • 壺形埴輪
  • 高坏
  • 器台
  • 壺 - 6個体以上

築造時期

  • 4世紀後半

指定

  • 2002年(平成14年)12月19日 国史跡指定(文部科学省告示202号)

展示保管

出土品の一部は、池子遺跡群資料館、葉山しおさい博物館で展示する。

アクセス等

  • 名称:長柄桜山古墳群
  • 所在地:
    • 第1号墳 神奈川県逗子市桜山7丁目、神奈川県三浦郡葉山町長柄字芳ヶ久保
    • 第2号墳 神奈川県逗子市桜山8丁目、神奈川県三浦郡葉山町長柄字下小路
  • 交通:J逗子駅 からバス4番「葉桜」行 約8分、終点「葉桜」で下車。 葉桜住宅端ののぼり口まで徒歩約6分、階段路を3~5分(高さ約25m)のぼる。

参考文献

  1. 逗子市教育委員会・葉山町教育委員会(2012)『国指定史跡長柄桜山古墳群第1号墳発掘調査報告書』

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