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水瓶2024年02月20日 21:26

水瓶(すいびょう)は長い頸部をもつ水差しである。

概要

僧侶の生活必需品とされる。仏教典では僧尼が使用する飲料用と手洗用の2種類があるとされる。比丘が持たなければならない18種類の持ち物のひとつである。仏前の供養具や法具として用いられ、インド、中央アジア、東南アジア、朝鮮半島、中国でも製作された。サンスクリット語のクンディカ(kuṇḍikā)の音訳語で紀元前後の古代インドの器が原型である。漢語では「軍持」であり素材には青銅、須恵、陶磁製がある。

作例

日本では7世紀以降に見られ、法隆寺献納宝物の「竜首水瓶」(飛鳥時代・7世紀、国宝)は飛鳥時代の日本で作られたものと考えられているが、ギリシア・ローマ神話に登場する翼をもつ馬(天馬)が描かれている。正倉院宝物の「漆胡瓶」は唐代/奈良時代・8世紀の作品でササン朝ペルシアの意匠をもっており、中国製と考えられている。東京国立博物館の「響銅水瓶」は飛鳥から奈良時代(7~8世紀)のものである。響銅製鋳造の水瓶は高台を持ち、胴部が丸く卵形に膨らみ、頸部は細長い。口縁はつよく反る。頂部の蓋は甲盛りがある。

観音菩薩と水瓶

観音菩薩立像には水瓶を手に持つ例がある。東京国立博物館の「銅造観音菩薩立像」(飛鳥時代・7世紀、 法隆寺献納N-172)は左手の第1指と3指で宝珠をつまみ、右手で水瓶を握る中には甘露水が入っており、体にふりかけると穢れが消えるとされている。和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山出土の銅造観音菩薩立像(飛鳥時代・7世紀、東京国立博物館)は右手に宝珠、左手に水をもつ。観音菩薩立像(銅造 鋳造 蝋型 立像、飛鳥時代 7世紀)は 左手を垂らし水瓶を下から手で受ける。

参考文献

  1. 中野政樹(1976)「供養具」『仏教考古学講座5』雄山閣

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