石錐 ― 2024年09月08日 00:51
石錐(せきすい/いしきり、Borer/stone awl)は穴をあけるための道具である。 「ドリル」、「ツインケン」、「揉錐器」と呼ばれることもある。
概要
旧石器時代、縄文時代から弥生時代に見られる。長さ3cm前後の一端を針状にとがらせた打製石器である。 キリのように回転穿孔の道具として使われたと考えられている。錘状の突出部を刃として用いた。「いしきり」の名で、縄文時代に石器として用いられた。携帯用のドリルである。 頭部を平たくしたものと全体を棒状にしたものとがある。江戸時代には石鏃の一種とされていたが、1886年に羽柴雄輔が石錐であると指摘した。旧石器時代と弥生時代の石錐はすべてが打製石器である。北部九州では石錐はまれである。朝鮮半島に類例がある。
分類
石錐の形態は錐部の長短、調整加工の方法、横断面形、頭部の形状、錐部両側縁の角度などの形状によりA類、B類、C類に分類される。
- A類:基部に短い身部を作り出したもの。
- B類:膨らんだ基部から身部が細長く棒状に突出する。
- C類:基部がなく、全体が棒状である。
使い方
先が細く尖っており、獣の皮や木の皮などを縫い合わせるため、木器や皮革製品などの有機質に穴をあける道具と推察される 柄部にアスファルトによる固定痕が残るものがみられる。
出土例
- 石錐 - 南方遺跡、岡山市北区国体町、弥生時代
- 石錐 - 境A遺跡、富山県朝日町、縄文時代、重要文化財
- 石錐 - 御経塚遺跡、石川県野々市市御経塚、縄文時代後期から晩期
参考文献
- 西谷正(1981)「朝鮮の環状様穿孔具について)」朝鮮学報99,100
- 加藤晋平、小林達雄、藤本強(1983)『縄文文化の研究』雄山閣
- 大野左千夫(1981)「石錘についての覚書」『古代学研究』81
- 内田律雄(2016)「九州型石錘についての覚書」『海と山と里の考古学』山崎純男博士古稀記念論集編集委員会
- 渡辺仁(1969)「所謂石錐について-先史学における用途の問題-」『考古学雑誌』5512
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