縄文時代の炉 ― 2026年07月26日 00:05
縄文時代の炉(じょうもんじだいのろ)は縄文時代に火を用いるために設けられた施設であり、竪穴住居内や屋外に設けられた。
概要
縄文時代には竪穴住居の重要な施設として炉が発達し、その後の弥生時代・古墳時代にも継続して用いられた。縄文時代の竪穴住居の多くには炉が設けられた。 縄文時代草創期から早期には屋外炉が多く見られる地域があるが、住居内に炉を設けた例も確認されている。縄文時代の早期後半以降になると住居内に炉を設ける例が増え、中期には一般的な構造となった。縄文時代の炉には円形・楕円形・方形などさまざまな平面形がみられる。
弥生時代にも地床炉や石囲炉、土器埋設炉などさまざまな形式が用いられ、古墳時代になると竈(かまど)が普及していく。発掘調査では焼土や炭・灰、焼けた石などが検出され、これを「炉跡」として認識する。炉は住居中央付近に設けられる例が多いが、時期や地域によって入口寄りに配置されるものもあり、住居構造や生活様式を知る重要な手掛かりとなる。 炉跡は住居跡を認定する際の重要な遺構であり、炭化物や焼土の分析から当時の食生活、燃料、居住形態などを復元するための重要な資料となっている。
炉は住居の中心的施設であるため、その位置や構造は住居の年代や地域性を知る重要な指標となる。また、炉跡から出土する炭化種子や獣骨・魚骨などの分析によって、縄文人の食生活や燃料利用、居住環境を復元する研究が進められている。
炉の役割
炉は家族が集まる生活の中心でもあり、調理や暖房だけでなく、木の実の乾燥、土器の補修、祭祀などにも利用されたと考えられている。炉で食事を作り(調理)、家の中を明るくし(照明)、寒い時期には暖房の役割もあった。
炉の種類
炉の種類には、(1)地床炉、(2)石囲炉、(3)煙道付炉穴、(4)複式炉がある。
地床炉
地面を浅く掘っただけの炉である。
石囲炉
炉の周りを河原石などで囲んだもの。
煙道付炉穴
地面に深く穴を掘り、空気を取り入れて燃焼効率を高めるための煙道を備える炉である。
複式炉
複式炉は、土器を埋設した炉と石組部を組み合わせた縄文時代後期を代表する炉である。煮炊きや火力調整を効率的に行える構造で、東日本を中心に確認されている。複式炉は東北地方から関東地方を中心に分布し、縄文時代後期から晩期にかけて多くみられる。
炉の変遷
一般的な縄文時代の炉の変遷は次のとおりである。(地域により異なる)
- 草創期:屋外炉が多い。
- 早期:住居内炉が出現する。
- 前期:地床炉・石囲炉が現れる。
- 中期:石囲炉が普及する。
- 後期:複式炉が発達する。
- 晩期:地域ごとの特色が顕著となる。
参考文献
- 吉川昌伸・吉川純子(2005)「縄文時代中・後期の環境変化」日本考古学協会福島大会
- 中尾真琴(2021)「煙道付炉穴について」京都府埋蔵文化財論集
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