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五斗長垣内遺跡2025年04月03日 00:44

五斗長垣内遺跡(ごっさかいといせき)は弥生時代後期に鉄器づくりを行っていた集落遺跡である。

概要

淡路島北部の西側斜面、海岸より3km、標高200mの丘陵上に位置する。弥生時代後期(1世紀から2世紀)の鍛冶遺跡が中心となる遺跡である。発掘調査では竪穴建物が23棟みつかり、うち12棟で鍛冶炉が確認されている。 五斗長垣内遺跡は弥生時代後期初頭に突然出現した遺跡である。当初は石器作りを行っていたが、1世紀後半に直径約10mの大型竪穴建物が作られ、その中で鉄器生産が始められた。炉で熱した鉄素材を台石に載せ、敲石で伸ばし、裁断を行い、先を砥石で仕上げて鉄鏃などを作った。 大型竪穴建物に複数の炉が作られ、周囲に細かい炭が広がる。台石や敲石(幅8.1cm)などの鍛冶道具が出土した。台石や敲石は使用により表面が潰れた状態でみつかった。高温の熱にさらされて(熱した鉄を叩いた)煤がついて変色しており、鍛冶に使われたことを証明する。弥生時代の掘立柱建物は4棟が見つかった。いずれも梁行1間、桁行2間のSB-204は2.76m×2.49mの規模である。SB-203は梁行1間、桁行4間で、2.77m×5.21mの規模である。柱穴は小規模で直径平均25cm、深さ33cmである。

調査

2007年度から2008年度、水田整備に伴う発掘で計23棟の建物跡が⾒つかった。うち12棟で鉄鍛冶の炉跡や台石、敲石などの道具類、鉄の矢尻、鉄の破片といった遺構や遺物を発見した。大きな板状鉄斧は朝鮮半島から持ち込まれた(輸入した)物とみられ、折れた鉄斧の刃先と共に、大型竪穴建物の壁付近で発見された。SH-302竪穴建物は円形の竪穴建物跡で、少なくとも3回程度の建て直しがあるが、10本柱の時期は直径10.5mである。炉跡は中央付近に10個所ある。鉄製品は19点が出土した。

遺構

  • 竪穴建物跡23棟
  • 掘立柱建物4
  • 土坑
  • 鍛冶関連遺跡

遺物

  • 弥生土器(壺+甕+鉢+高杯+器台+絵画土器+小型土器)
  • 石器(敲石+砥石+台石+サヌカイト製石鏃)
  • 鉄器(板状鉄斧+鉄鏃+板状鉄+棒状鉄)
  • 鉄製品
  • 敲石、
  • 砥石
  • 敲石 ベンガラが付着する

指定

  • 平成24年9月19日 国史跡

展示

  • 五斗長垣内遺跡活用拠点施設

考察

邪馬台国畿内説では弥生時代末期の近畿で鉄器が出土しないことが難点とされてきたが、五斗長垣内遺跡の発見により難点ではなくなった。淡路島では五斗長垣内遺跡や舟木遺跡などの鉄器生産工房跡が発見されており、弥生時代後期の近畿圏の鉄器生産基地であったと見られる。淡路島が西日本屈指の鉄器生産地であったことが明らかになった。 同じ弥生時代の鉄器生産は舟木遺跡(淡路市)でも行われていた。 五斗長垣内遺跡のあったのは倭国乱の時期である。五斗長垣内遺跡で作られた鉄鏃は倭国乱の戦いでも使われたかもしれない。

指定

  • 平成24年9月19日 国指定 史跡名勝天然記念物

所在地等

名称:五斗長垣内遺跡

  • 所在地:兵庫県淡路市黒谷1395-3
  • 交通: JR神戸線快速「舞子」から(高速バス淡路交通・舞子・福良線「福良行」50分)「北淡IC」下車から徒歩45分

参考文献

  1. 淡路市教育委員会(2011)「五斗長垣内遺跡発掘調査報告」

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