Bing

貯蔵穴2024年04月05日 11:14

貯蔵穴(ちょぞうけつ,storage hole/Strage pit)は食物や器物を土中に埋めた土坑その他の穴である。

概要

縄文時代に登場し、弥生時代中期以降になくなる。縄文時代では主にドングリを保管するために作られた。屋内に作りつけるものと屋外のものがある。食料の供給が不安定な狩猟・採集社会では、堅果類を保存して、食料供給を安定させることができる。 南方前池遺跡では、トチ、ナラ、クルミ、クリ、カシなどの堅果類の遺物が大量に出土している。ドングリは実の形状であり、マテバシイ、クヌギ、コナラ、シラカシ、ブナ科の実などを総称する。「ドングリ」という名前の植物はない。 清左衛門遺跡では平面円形で入り口が狭く、底部が広いフラスコ状であった。 坂の下遺跡(佐賀県有田町)の貯蔵穴からはアラカシの実が大量に出土した。九州大学理学部のC14測定で4,000年前のものと判明している。縄文中期である。

構造

直径45cm~180cm、深さ30~100cmと大きさは様々だがである。岩田遺跡の貯蔵穴は直径1.5m、深さ1mである。

貯蔵穴を使う理由

  1. 殺菌効果 - どんぐりに付着する虫の卵やふ化した幼虫を殺す
  2. あく抜き -貯蔵穴に水を貯めてドングリ等をつけてアク抜きをする。
  3. 食料保存 - 倉庫の1種

出土例

  • 貯蔵穴 - 清左衛門遺跡、埼玉県白岡市、縄文時代仲期から晩期
  • 貯蔵穴 - 坂の下遺跡、佐賀県有田町、縄文時代仲期

参考文献

  1. 藤原秀樹(2021)「北海道・北東北の縄文時代の貯蔵穴と貯蔵穴への埋葬」『北海道考古学』/北海道考古学会
  2. 佐々木藤雄(1979)「縄文社会論ノート」『異貌』8
  3. 永瀬福男(1982)「食料の漁猟・採集活動と保存 貯蔵穴」『季刊考古学』1号、東京雄山閣pp.59-61
  4. 坂口隆(2003)『縄文時代貯蔵穴の研究』アムプロモーション