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土偶研究の新展開2024年04月18日 12:30

土偶研究の新展開(どぐうけんきゅうのしんてんかい)は明治大学が主催した土偶研究の講演会である。

概要

阿部芳郎教授は、土偶の意味を4段階の変化と関連させ、「ヒトの人化」という概念で整理し、土偶の社会的な意味を再構成できるとした。八木勝枝氏は岩手県内の土偶は列点文土偶と土器文様土偶があり、後期後葉では両者が融合し、斉一的になるとした。対応する社会変化は今後の研究課題とした。高橋満氏は福島県の筒形土偶の人体文土偶を紹介した。 吉岡卓真氏は土偶、土版、岩版の関係性モデルを提示した。中沢道彦氏は長野県の縄文時代晩期土偶を形式学的観点から論じた。川添和暁は縄文時代の骨角製儀器の「I字文」「対向渦巻文」「三叉文」の3種の文様の関係を分析した。宮内慶介氏は動物形土製品にはイノシシ、イヌ、熊、猿、鶏、亀、海獣などがあるとした。これらのサイズと文様に着目して分析した。蒲生侑佳氏は土偶の「赤彩」を分析しベンガラと朱とで顔料が使い分けられていると報告した。

講演

  • 発表1 「土偶研究の新視点」(阿部芳郎/明治大学教授)
  • 発表2 「岩手県域における後期中葉土偶の構成」(八木勝枝/岩手県埋蔵文化財センター)
  • 発表3 「東北地方南部における縄文中期末の人体文・狩猟文土器」(高橋満/福島県立博物館)
  • 発表4 「関東地方の後・晩期土偶・土版・岩版」(吉岡卓真/さいたま市教育委員会)
  • 発表5 「中部高地の後・晩期土偶」(中沢道彦/長野県)
  • 発表6 「骨角製儀器からみた文様の関係性とその意義」(川添和暁/愛知県埋蔵文化財センター)
  • 発表7「関東地方を中心とした動物形土製品の形態と文様」(宮内慶介/飯能市教育委員会)
  • 発表8「赤彩技術の空間的展開と儀器生産の関係」(蒲生侑佳/明治大学文学部博士後期)
  • 総合討論

開催概要

  • テーマ:土偶研究の新展開
  • 開催場所:明治大学グローバルフロント
  • 開催日:2024年3月2日
  • 開催時間:10時~17時00分
  • 所在地:千代田区神田駿河台2-1
  • 交通:JR 御茶水駅 徒歩5分

参考文献

  1. 明治大学(2024)『土偶研究の新展開~資源利用史と土偶祭祀』資源利用研究史クラスター

二重口縁壺2024年04月18日 17:37

二重口縁壺/船橋遺跡/東京国立博物館

二重口縁壺(にじゅうこうえんつぼ)は口縁部がいったん直角に屈曲し、さらに大きく外側に開いて、二段になる形態の壺である。

概要

底部に穴が空いているものがある。底部の孔は、土器を焼く前の成形の工程の中であけられたものえあり。そのような壺は日常の容器としての土器ではなく、最初から墓などで使用することを目的として作られたもので、その意味では古墳の「埴輪」に通じる。

時代別特徴

弥生時代には小ぶりな底部、肩部に櫛描直線文と波状文の装飾がある。  古墳時代初頭には口縁部が波状文や円形浮文で装飾され、底部が丸底あるいは尖り気味の底となる。

出土例

  • 二重口縁壺 - 青木遺跡、鳥取県米子市、弥生時代中期
  • 二重口縁壺 - 唐古・鍵遺跡、奈良県、弥生時代後期末(3世紀)
  • 二重口縁壺 - 箸墓古墳、奈良県桜井市、3世紀中頃から後半
  • 二重口縁壺 - 米倉山B遺跡、甲府市下向山町、古墳時代前期
  • 二重口縁壺 - 東京都あきる野市草花字羽ヶ田出土、土師器、古墳時代・4世紀

参考文献