安山岩 ― 2023年08月09日 07:44
安山岩(あんざんがん, Andesite)は造山帯に多く分布する暗灰色、灰色ないし淡赤色、雑色などの火山岩である。マグマなどが冷えて固まった火成岩の一種である。
概要
19世紀初頭ドイツのブッフにより南アメリカのアンデス山脈山中の火山岩に対して「アンデサイト」と命名された、日本名は1868年(明治1年)小藤文治郎により「富士岩」としたが、地質調査所は「安山岩」の訳を用い、一般化した。アンデスの「アン」の音を当てて「安」とし、アンデス山を「安山」としたのが「安山岩」の由来とされる。きめ細かい石基に、斜長石や輝石類の粒が混じった斑状組織が特徴である。
用途
石材の選別は旧石器時代においては特に厳密に行われていて、時期によって石材の用い方に大きな変化が見られる。
産地
日本の火山岩中もっとも分布が広い。神奈川県真鶴町の新小松石、長野県下の鉄平、鹿児島市伊敷町の黒御影、香川県坂出市のかんかん石、神奈川県小田原市の根府川石、福島県須賀川市の須賀川石などがある。石材名で「鉄平石」と呼ばれている長野県佐久穂町板石山産の安山岩は全国的に有名な石材である。板状節理が発達し,灰から灰褐色の落ちついた色合いの板状の石材が得らる。
使用例
- 牽牛子塚古墳 – 石室の外扉は安山岩系の石材を用い、幅2.69m、厚さ約63cm、高さ2.4m。
- 高井田山古墳 - 石室の石材は、大半は自然石で奥田尚氏の鑑定によると、カンラン石輝石安山岩、輝石安山岩で、南東約1kmにある芝山周辺で採取した。
- 纒向東田大塚古墳 - 墳丘周辺から芝山産の安山岩の板材が少量採集されている。
- 金井沢碑 - 高さ110センチ、幅70センチ、厚さ65センチ。硬質の輝石安山岩の自然石を使用する。
- 総社愛宕山古墳 - 横穴式石室は安山岩の巨石を用いて構築する。
参考文献
上境旭台貝塚 ― 2023年08月09日 07:45
上境旭台貝塚(かみさかいあさひだいかいずか)は茨城県つくば市にある縄文時代後期後葉から晩期前半の貝塚とそれらの人々の集落遺跡である。
概要
霞ヶ浦に注ぐ桜川右岸の標高24mから27mの台地辺縁部の貝塚は存在する。最大1mの厚さで貝が堆積していた。
発掘調査
動物遺存体は、イノシシ・シカが多く、人為的に割られたスパイラル剥片である。土製品では、土偶のほか、海獣形土製品が出土している、第4号ピット群P27から人骨が出土しており、墓坑の可能性がある。第1号貝層、東部包含層から人骨片が出土しており、埋葬人骨の可能性がある。遺跡から90点の土偶が出土した。
ミミズク土偶
縄文時代後期後葉の土偶である。頭部の装飾部にに欠損があるが、ほぼ完形で、円形の粘土を貼り付けて目や装飾を表す。高さ13.2cm。
遺構
- 竪穴住居跡 3
- 陥し穴 1
- 土坑 15+78
- ピット 1+2
- 炉跡
- 斜面貝層
- 遺物包含層
- 墓坑1
- 粘土採掘坑1
- 流路跡1
- 焼成遺構1
遺物
- 深鉢 縄文土器、矢印状文の沈線、安行式土器
- 浅鉢 縄文土器
- 注口土器 縄文土器
- 土製品(土偶・土版・耳飾り・土製円盤・海獣形土製品)
- 石器(石鏃・敲石・磨石・凹石・磨製石斧・打製石斧・石錘・石匙、石錐・)
- 砥石
- 動物遺存体(獣骨・鳥骨・魚骨・貝) オオヤマネコの骨。
- 漆器・木製品
- 編組製品
- 骨角製品
- オオツタノハ製貝輪
- 土製品(耳飾り・土偶・土版・土器片円盤)
- 石製品(勾玉・小玉・石棒・石剣)
- 骨角製品(ヤス・ヘアピン)
- 貝製品(貝輪・貝刃・イモガイ製装身具)
- 自然遺物
指定
アクセス等
- 名称:上境旭台貝塚
- 所在地:茨城県つくば市大字栄439番地の1ほか
- 交通:
参考文献
- 茨城県教育財団(2009)『上境旭台貝塚』
- 文化庁(2013)『発掘された日本列島2013』朝日新聞出版
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