Bing

製塩土器2024年04月17日 23:54

製塩土器(せいえんどき)は土器で製塩するための土器である。

概要

海水中には約3%の塩分があるため、熱を加え,水分を蒸発させれば塩を得ることができる。 海水の塩分をあらかじめ濃くしておき、土器に入れて煮つめ,塩の結晶を得る。 縄文時代後期、晩期には関東や東北の太平洋岸に分布する。深鉢形であり底部は尖底に近い形状であり、海水を入れて煮沸するため、ひび割れがおこるため、細片化している。 弥生後期以降は土器製塩は西日本が中心に移る。若狭、能登、瀬戸内海沿岸、伊勢湾沿岸などが盛んである。

製塩工程

製塩工程は採鹹(さいかん)と煎熬(せんごう)の2つの作業が行われる。 採鹹は、海水の水分を蒸発させ塩分濃度の高い海水(鹹水)を作ることである。 『万葉集』『風土記』に、「藻塩垂る」とあるのは、海藻に海水をかけ水分を蒸発させて塩分濃度の高い海水を作る工程である。塩分のついた海藻を焼いて灰にし、灰を海水と混ぜて布でこして鹹水を得る。 煎熬は製塩土器を使い、得られた鹹水を製塩土器に移して煮沸する。 煮沸の際には製塩炉と呼ばれる専用の炉(製塩炉)にかけて塩を得る。 使用した土器は器壁にしみ込んだ塩分が結晶化し、膨張することにより破裂する。

瀬戸内の製塩土器

3つのタイプに分かれる。

  1. 脚台タイププ(古墳時代前期)
  2. 小椀タイプ(古墳時代中期)
  3. 大形ボウルタイプ(古墳時代後期)

出土例

  • 製塩土器 - 上高津貝塚、茨城県土浦市上高津、縄文時代晩期
  • 製塩土器 - 里浜貝塚、宮城県鳴瀬町、縄文時代/紀元前500年、東北歴史博物館
  • 製塩土器 - 小島東遺跡、大阪府泉南郡岬町多奈川小島401番地、弥生時代後期から古墳時代前期

参考文献

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://ancient-history.asablo.jp/blog/2024/04/17/9676710/tb