羽根尾貝塚 ― 2025年07月01日 00:10
羽根尾貝塚(はねおかいづか)は神奈川県小田原市にある縄文時代の遺跡である。
概要
羽根尾貝塚は相模湾北西部に位置し、小田原市東部、大磯丘陵南西部の羽根尾工業団地内の地表下2mから4mで発見された。縄文時代前期中葉の貝塚と泥炭質包含層により構成される遺跡である。貝塚は現在標高22mから25mにあるが、斜面貝層の堆積があり、縄文海進時の比較的温暖な気候のときに形成された貝塚である。遺物は、縄文時代前期の関山式・黒浜式土器のほか、東海地方との交流を示す土器が含まれる。貝層の厚さが約50cmと薄いため、貝の採集は長期間ではなかったとみられる。水分と有機質を含む泥炭層であったために、台地上の遺跡では通常残らない(腐ってなくなる)木製品・漆製品・繊維類が豊富に出土した。貝塚の形成はBC3720年頃と見られる。遺跡は造成により消滅した。現地に説明板が立っている。
調査
漆塗りの木製容器、丸木舟を漕ぐための櫂、骨や角で作った髪飾りや釣針などの生活の道具、縄文人 が食料としたカツオ、イシナギなどの魚類、猪、鹿、イルカなどの哺乳類の骨や歯、クルミなどの木の実が出土した。縄文時代の相模湾で船を用いたイルカ・カツオ・メカジキ・サメ・イシナギなどの外洋性漁労が行われていた。石器は磨石・敲石の出土が多い。調査区東寄りの地点で半分に割れたクルミ殻と堅果類が集積している。1号貝層の北西端から、人骨が1体検出された。神奈川県下における縄文時代泥炭層遺跡の本格的調査は本遺跡が最初の事例であった。
遺構
- クルミ集中
- 貝層6
- 遺物集中1
- 集石1
遺物
- 縄文土器
- 石器
- 土製品
- 骨角器
- 木製品
- 人骨
- 植物遺存体
- 動物遺存体
- 縄文土器
- 関山式土器
- 黒浜式土器
- 諸磯a式
- 石器
- 漆塗りの木製容器、
- 丸木舟を漕ぐための櫂、
- 髪飾り
- 釣針
- カツオの骨
- イシナギ
- 猪、
- 鹿の骨
- イルカの骨
- 歯
- 成人男性の骨
- 磨石
- 敲石
- 木製品
- 編物
- 縄
指定
- 平成16年2月10日 神奈川県指定重要文化財
展示
- 小田原市郷土文化館
考察
アクセス等
- 名称: 羽根尾貝塚
- 所在地:神奈川県小田原市羽根尾字中道444-1
- 交通:
参考文献
- 戸田哲也・舘弘子(2001)「羽根尾貝塚の発掘調査成果とその意義」日本考古学
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